おじさまと猫

おじさまと猫は桜井海による日本の漫画作品。元々はTwitterにて公開されていたが、人気を博したため、単行本が発売し『ガンガンpixiv』『月間少年ガンガン』で連載されるようになった。2021年1月からテレビドラマ化もされた。
この話の内容はペットショップで売れ残ったブサイクな猫を、妻を亡くし孤独を感じていた『おじさま』が引き取ると言う所からスタートするハートフルストーリーとなっている。序盤は一人と一匹の交流を中心とした猫漫画と言った内容であったが、話が進むとおじさまが元は世界的ピアニストであったことが明かされ、以降は、音楽漫画と言った展開も多く描かれるようになる。おじさまと猫以外にも登場人物は数多く登場し、基本的には善人ばかりで魅力的な人物が多く、暖かい世界観が味わえる。
前述のドラマ化の際、猫であるふくまるは本物の猫では無く、ぬいぐるみを用いて撮影が行われた。これは放送前には賛否が分かれたものの、実際に放送された後は概ね好評を得ることに成功した。

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おじさまと猫
4

猫を飼っていないなら楽しめる

最愛の妻を無くし人生に落胆していた元ピアニストが、ブサイクを理由に処分寸前で人生に落胆していた猫とペットショップで運命の出会いをし、お互いに寂しかった人生が変わっていく。という理想的なストーリーで始まる漫画。主人公の「おじさま」こと神田冬樹も「ブサイク猫」のふくまるも心優しい性格で、ストーリーも非の付け所がないような美しい話だ。読んでいるだけで幸せな気分になる良い内容である。
だが、おじさまの描写も猫の描写もあまりにも夢物語すぎて、実際に猫を飼ったことのある人には、ここぞという楽しみ方や共感ができない。猫がいるだけで癒やされるという生活の満ち足り方や、要所要所で描かれる猫の可愛い仕草には共感できるが、ふくまるのモノローグに流れるあまりにも人間チックな語り草にはまるで猫らしさが感じられない。また主人公のおじさまやその周辺人物、亡くなった元妻などが聖人すぎて、日常の一コマという場面にもリアリティが一切感じられない。その上でお涙頂戴ストーリーを展開してくるので、読んでいる最中に白けてきてしまうというのが正直な感想だ。
しかし2020年から始まったテレビ東京が実写化したドラマは秀逸である。そのリアリティのなさを、草刈正雄というまたリアリティのないダンディな俳優と、ぬいぐるみを使ったふくまるの再現というリアリティのなさで、上手にパロディ化していて、余計な事を考えずにすんなりと感情移入ができるようになった。見るならドラマがおすすめである。