チェンソーマン / Chainsaw Man

『チェンソーマン』とは、藤本タツキが描くダークファンタジー漫画である。『週刊少年ジャンプ』にて第1部「公安編」が2019年1号から2021年2号まで連載され、第2部「学園編」が『少年ジャンプ+』にて2022年7月13日より連載されている。
「悪魔」と呼ばれ人間の恐怖心を原動力とする怪物が存在する世界で、亡き父親の借金を肩代わりさせられ貧乏な生活を送っている少年デンジとチェンソーの悪魔ポチタは、共に悪魔を倒しながら「デビルハンター」として生計を立てていた。
ある日、仕事を斡旋しているヤクザに騙されデンジとポチタは殺害されてしまうが、ポチタがデンジの心臓となることでデンジは「チェンソーの悪魔」となる力を手に入れ復活を果たす。その後は現場に駆けつけた公安のマキマに拾われ公安所属のデビルハンターに所属することになる。
欲望に忠実で協調性や一般常識など無視した新感覚な過激バトルシーン、予想を超える展開で人気を博し、2021年には宝島社『このマンガがすごい!2021』オトコ編で1位に選出され、2022年10月からはテレビ東京系列でアニメが放送された。

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チェンソーマン / Chainsaw Man
10

お決まりの「お約束」がないストーリー

本作は、人間の内なる恐怖が具現化した「悪魔」と、それらに対峙する「デビルハンター」を描いたストーリーである。当初、デビルハンター側は「銃の悪魔」を倒すことを目標とし、戦闘を繰り広げていく。主人公であり、悪魔を心臓に宿すことで悪魔人間となったデンジもその目標に向かう1人。とはいっても、デンジは上司であるマキマとやましいことをすることが真の目的であったりする。ここら辺はすごくジャンプあるあるの男性主人公という感じ。
本作が他作品と大きく異なる点は、ご都合主義的な展開が見当たらない点である。例えば、「主人公の親友はどんなにピンチな局面でも絶対に死なない」という信頼感であったり、「突如でできた敵キャラは、ある程度見せ場を作るまで殺されない」という謎の安心感、などはこの作品にはまるでない。親友であっても、いい感じの上司であっても、「これからちょこちょこでてくるんだろうな〜」というキャラであっても、この作品ではポンポンと退場させられてしまう。
しかし、どの登場人物の死にも、必ず物語の流れがあり、意味のない死を遂げる者も、またいないのである。
話のテンポが早く、なおかつ今までのお約束の展開がことごとくない本作は、読者を飽きさせることがない。
また、人間の恐怖が具現化した悪魔たちは、私たちに確実に迫り来る恐怖を与える。どれもシンプルなイラストながらも、その画力も、魅力の一つと言えるだろう。