はたらく細胞BLACK / Cells at Work! Code Black

はたらく細胞BLACK / Cells at Work! Code Black

『はたらく細胞BLACK』とは原作原田重光、作画初嘉屋一生で『モーニング』で2018年27号から2021年8号まで断続的に連載された漫画、およびそれを原作としたアニメ作品。ブラック企業のような劣悪な体の中で働く赤血球を主人公に、喫煙や飲酒などで蝕まれていく体の健康問題を細胞視点で綴っていく。擬人化された細胞やロボット兵器のような薬剤や抗生物質が登場し、シリアスかつ殺伐とした雰囲気の中奮闘する様子は、不摂生な生活をする人に警鐘を鳴らすディストピア作品。

ウルムナフのレビュー・評価・感想

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はたらく細胞BLACK / Cells at Work! Code Black
8

不健康生活の体の中は、ブラック企業

この漫画は、アニメ化もされた「はたらく細胞」の数多くあるスピンオフ漫画の一つです。

血や雑菌が飛び交うとは言え、全体的にほのぼのとしている雰囲気の他の原作やスピンオフの多くと違い、はたらく細胞BLACKでは笑えるようなギャグシーンがありません。

主人公である赤血球が働くのは、乱れた食生活やアルコール、喫煙、ストレスにまみれた過酷な体の中でした。
血管は血小板の集まりである血栓や、脂質・マクロファージの死骸・増殖した血管平滑筋細胞であるプラークで狭くなり、酸素を運ぶのも困難です。

登場する体内トラブルは、10年ぶりの喫煙、飲酒、ED、性病、AGA、心筋梗塞といった、依存性があり体内に影響を及ぼすものの摂取から、病気など。

他の体への輸血という職場である人間が変わるという展開もありますが、新たな体もやはりBLACKです。
体内で働く細胞たちが体験する地獄のような日々だけではなく、その体の持ち主が、単に自堕落なわけではなく、不健康な食事や生活習慣にとらわれてしまうほど、辛く過酷な環境で仕事と生活を送っているのが窺い知れます。

彼らの姿を見ていると日常生活における小さな選択が、いかに体に影響を及ぼしているかを知ることができます。
単に娯楽漫画として読むのもよし、不健康生活への戒めとして読むのもよし、というBLACKな作品です。