ブルーロック / Blue Lock

『ブルーロック』は、金城宗幸、ノ村優介によるサッカーを題材とした少年漫画作品。『週刊少年マガジン(講談社)』にて2018年から連載され、累計発行部数2000部を突破している。第45回講談社漫画賞少年漫画部門受賞作品。
主人公・潔世一は、全国高校サッカー選手権の埼玉県予選で、自らシュートを打たずチームメイトにパスを出すが、チームメイトがシュートを外し県予選敗退となる。自分からシュートを打たなかったことを後悔した潔のもとに、「青い監獄(ブルーロック)計画」の強化指定選手に選ばれたと知らせが届く。しかし、実態は全国から優秀な高校生FWを300人集め、ブルーロックという施設に監禁し、300人の中からたった1人の「エゴイスト」を日本代表に選抜するという計画であった。
サッカーを含むチームスポーツを描いた漫画に多く見られる絆やチームワークではなく、「例え仲間を蹴落としてでも自分がゴールを決める」といった圧倒的な個人の実力に視点に置いた斬新なサッカー漫画でありながら、生きるか死ぬかのデスゲームの要素も併せ持つ作品である。
2022年10月よりテレビ朝日系列にてテレビアニメ放送開始。原作では実在するサッカー選手を誹謗中傷するかのような表現も見られたが、アニメではカットされている。
舞台化も決定しており、2023年5月に大阪、東京にて上演予定。

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ブルーロック / Blue Lock
7

監獄は真摯

「丁寧に作られている」というのがこの作品を読んで感じた印象です。
話の大筋としては、フォワードの育ちにくい日本サッカー界に、メッシやクリロナのような強烈なエゴを持った英雄(ストライカー)を作りあげるため、高校生フォワードを青い監獄(ブルーロック)に集め、蹴落とし合いを行わせるというもの。

サッカーの戦術や技術というよりは、選手の能力的な面にフォーカスが当てられており、サッカー漫画というよりはバトル漫画なのだが、バトル漫画特有のパワーバランスの崩壊やインフレ現象が現時点ではほとんど見当たりません。
序盤の敵と後で同じチームになったり、逆に最初同じチームにいた仲間と後で対決することになったりするのですが、その際に急激な弱体化や強化が行われたりすることもなく、作者がキャラクター一人一人を大切にしているのが伝わってきます。
それに加えて、一試合一試合の長さ、そしてコンセプトが絶妙。ちゃんと事前に構想を練った上で書き始めているのが分かり好感を持てます。

欠点を挙げるとすれば、そこまで露骨ではないものの、見ようによってはBLを感じさせる要素があったり、犬猿コンビを「アンチコンビ」と読んだりと人によっては不快に感じるかもしれない中二病的な表現がある点でしょうか。
ただ、それらを鑑みてもこの作者の作品に対する真摯さには尊敬せざるを得ません。マガジン連載ということもあり少年漫画的な熱さにも事欠きません。
サッカー好きな人にはもちろん、熱いバトル漫画が読みたい人には是非おすすめの作品です。