37.5℃の涙

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37.5℃の涙
10

ドラマ化もされた名作漫画

タイトルの数字は、子供が保育園へ通える体温のボーダーラインだそうです。
熱が出ていたりするために保育園へは行けない、しかし、保護者は仕事があるために一緒にいられない。そんな時に、病気の子供を世話をする病児保育士を行う主人公たちと、その対象となった子供たちの姿を描きます。

心を開いてくれない子供や、病院に行くべきか微妙なラインで具合の悪い子供だけでなく、気難しい親やクレーマー体質な親もいるという、実際の現場でも起こり得るであろう困難が主人公を待ち受けます。

主人公は女性で、名前を杉崎桃子と言います。
彼女自身が幼少期から児童虐待の被害に遭い続けていて、そのために苦しい境遇にある子供の気持ちを理解することができます。
悲惨な経験をしながらも素直で真面目、子供に愛情深い性格を持っている彼女だからこそのことで、決して器用とは言えないまでも真摯に病児保育に励む姿は、尊敬を覚えずにいられません。

作中でもその姿は利用者親子に伝わっているようで、病児保育の時には桃子を指名するという人もどんどん増えていく様は、彼女の成長を的確に表していると思います。

現実的には子供が好きなだけでは務まらない難しい職業であるとは思いますし、このような作品を見ているとそういった綺麗事だけではない面を知ることができ、勉強になりました。