アルキメデスの大戦

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アルキメデスの大戦
7

戦艦大和の真実!?

人気俳優菅田将暉主演映画の「アルキメデスの大戦」。
邦画の戦争物は興行収入的に見てハリウッドの超大作物と比較するとどうしても見劣りする部分がありますが、冒頭からいきなりの戦闘シーンにまずは度肝を抜かれます。いきなりの迫力と沈没シーンは圧巻の一言でした。
天才数学者・櫂直役としての菅田将暉、顔だけではない魅力を存分に出してくれた作品となっています。
海軍少将・山本五十六役として参加した舘さんも渋い演技で花を添えます。
三田紀房の人気漫画を実写映画化した本作は、世界最大級の戦艦・大和の建造をめぐるさまざまな謀略を描く作品です。
上層部は世界に誇示する大きさを誇る大和の建造を支持していた。一種の見栄、まさに今現在の使えぬ上司や政府を彷彿とさせるはびこる腐敗。
山本は大和の建造にかかる莫大な費用を算出し、大和建造計画の裏に隠された不正を暴くべく、天才数学者・櫂直を海軍に招き入れる。
実際は、その山本さえも少なからず陰謀や野望があるのですが…。

映画の流れで行くと、まずは戦闘シーンからスタートして、天才数学者が登場、大和の建造費を巡る陰謀を得意の数字を使って暴いていく知的な映画です。
「大和の建造にかかった本当の費用」「大和の主砲“46cm砲”の威力と実際の敵に当たる確率」「当時の日本の技術力」物語は史実に基づいたフィクションですが、本当の戦艦大和の建造計画を実に絶妙に絡めており、実際にこうだったのではないかと思わされる作品でした。
あの流れでいくと最後まで戦艦大和は建造されないのか?!という流れで進んでいきますし、陰謀や不正を暴いたところまでいくと山本の案である空母の方が実利があるようにだれでもわかります。
本当の最後で二人の設計者が交わした言葉が全てでした。
未来のため、戦艦大和(日本)が戦争に負けること。絶対的な大和が沈没して大敗をする意味、そこまで見据えた建造計画だったのか?!と、最後の最後に感心させられる内容でした。
完全に大人向けですけどね。