青野くんに触りたいから死にたい

ekuresia0609cw1のレビュー・評価・感想

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青野くんに触りたいから死にたい
8

刺さる台詞が多い

可愛らしくメルヘンチックな絵柄で、最初はギャグ、コメディの類の作品かと思っていた。しかし、次第に本格的なホラーとなり、その中でヒロインと青野くんの悲しい生い立ちに触れ、読者の心を揺さぶる生々しい人間ドラマを形成していった。
「優しい奴ほど人を傷つける方法をたくさん知ってるんだよ」と言っていた青野くんは、傷つきながら優里に惹かれていき、「青野くんがこの世界から消えてしまうのが一番正しいことだなんてこの世界ってクソじゃんねぇ」と笑って言った優里は命をすり減らしながら、精神的にはどんどん強く人間らしくなっていく。 2人の過去や地域の因習のようなものの謎が少しずつ分かる一方で、この先の展開は全く読めなくて、青野くんと優里がどうなっていくのか予想がつかない。 2人が現世で結ばれる未来は来ないのだとしても、どう決着をつけるのか今後も見守っていきたい作品である。
比較的恵まれた環境で育った藤本くんは正義感が強く、読者寄りのキャラクターだと思うが、5巻で優里との決定的な隔たりを描かれてしまっているので、彼女と付き合える展開にはならなそうで切ない。 初期には言いたいことをズケズケ言うキャラクターだったが、優里を好きになってから思春期らしく悩んでいて、個人的にはとても応援したくなる存在である。2番手の男性キャラクターが魅力的な漫画は読んでいて面白いと思う。