アイアムアヒーロー / I Am a Hero

『アイアムアヒーロー』とは、2009年22・23合併号から2017年13号まで『ビックコミックスピリッツ』(小学館)で連載された、花沢健吾によるSFホラー漫画である。コミックスは全22巻が刊行され、累計発行部数は2021年11月時点で830万部を超えた。
物語は謎の奇病により人々が食人鬼化し、平凡な日常生活が崩壊していく様を主人公の鈴木英雄(すずきひでお)の戦いと共に描いている。またこれまで社会に劣等感を持っていた人々が、不条理に対してどう行動するのかにスポットを当てた作品となっている。
「マンガ大賞2010」で第4位、「マンガ大賞2011」で第3位を獲得し、2012年には「第58回小学館漫画賞」の一般向け部門を受賞した。2016年4月にはムービーコミックがdTVから配信された。実写映画は2016年4月23日に公開され、鈴木英雄役を大泉洋が演じた。この映画は「第34回ブリュッセル国際ファンタスティック映画祭」で、ゴールデン・レイヴン賞を受賞したのをはじめ、多くの海外国際映画祭で受賞した。

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アイアムアヒーロー / I Am a Hero
7

コロナ禍に必見のパニック漫画!

主人公は35歳の冴えない漫画家の鈴木英雄。デビュー作はすぐに打ち切りになり、借金を抱えながらもアシスタントをしながら何とか食い繋ぐ日々。そんなある日、全国的に「噛み付き事件」が多発し、世間を騒がせる中、恋人の黒川徹子が感染し、襲ってくるという衝撃的なスタートから始まります。

周囲の人々がゾンビのような食人鬼と化す謎の奇病が蔓延し、「ZQN」と呼ばれる感染者たちが街に溢れる中、猟銃を持ち、何とか都内から逃亡した英雄は富士の樹海で女子高生・早狩比呂美、御殿場のアウトレットモールで看護師・藪(小田つぐみ)と出会い行動を共にします。

半感染状態となった比呂美の免疫力を「人類の希望になるかもしれない」と考えた小田の提言から、一行は東京方面を目指します。

絶対的な武器を持つ英雄と、完全に感染していないという特殊な状態である比呂美。2人のヒーローが必死に生き抜いていくストーリーが、コロナウイルスでパニック状態に陥っていた時の状況にリンクし、つい感情移入してしまいます。

・キャラクター紹介
鈴木 英雄(すずき ひでお):冴えない漫画家であり、プロ漫画家の松尾の下で作画アシスタントとして働いていました。クレー射撃を趣味とし、銃砲所持許可証および散弾銃(新SKB MJ-7)を所持していたことが後々、極限状況を乗り越えるための大きな武器となります。
早狩 比呂美(はやかり ひろみ):右目の下に泣きぼくろがある、髪の長い女子高生。林間学校で富士山麓に来ていて、クラスメイトと樹海での肝試し中に東京から逃れてきた英雄と遭遇します。英雄と共に富士山へ向かう集団から逃れる際、感染した新生児に首筋を噛まれました。新生児には歯が生えていなかった為か急激な感染は避けられましたが、一夜明けた後に発症。しかし英雄たちを襲うことはない「半感染」状態となってしまいます。
小田 つぐみ(おだ つぐみ):病院に勤めていた看護師で、非番だったため感染を免れました。発症後も英雄たちを襲おうとしない比呂美を、パンデミック解決の鍵になるのではないかと考え、英雄と共に可能性を探っていきます。