君たちはどう生きるか(映画) / The Boy and the Heron

君たちはどう生きるか(映画) / The Boy and the Heron

『君たちはどう生きるか』とは、義母を救うために不可思議な世界を旅する少年の姿を描いた、宮崎駿によるアニメ映画。宮崎が「これで本当に最後」と明言して制作した作品で、宣伝も無く、公式HPも無く、一切情報を隠したまま公開されるという独特の手法で話題となった。
太平洋戦争が激化する最中、牧眞人は父と共に郊外へ引っ越し、そこで叔母で新たに自身の義母となるナツコと再会。どう接すればいいのか互いに戸惑う中、ナツコはいずこかへと姿を消し、眞人は彼女を連れ戻すために謎のアオサギに導かれて異界へと旅立っていく。

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君たちはどう生きるか(映画) / The Boy and the Heron
9

ジブリ作品を体現している映画『君たちはどう生きるか』

君たちはどう生きるか。観終わった後、私たちはどう生きればよいのか明確な答えはわからなかった、というのが正直な感想だ。だが、それでよいのかもしれない。
この作品は、吉野源三郎さんの「君たちはどう生きるか」が作品のヒントとなっている、宮崎駿監督のオリジナルストーリーである。この作品には、ジブリファンなら気が付くであろう、ほかの映画を連想させるようなシーンがたくさんちりばめられている。さらに声優も木村拓哉さんのように、以前のジブリ作品にも登場した声優さんも出演しており、ファンにはうれしい仕掛けが多い。
映画を観て、難しかったというのが本音だ。一言でまとめてしまうと主人公の男の子が冒険を通して成長していく、という話なのだが、これだけでは言い表せないほど多くの人との出会い、様々な場面が登場する。その混沌さが、映画を観た人の評価が分かれる点なのではないだろうか。例えば、主人公が急に異世界に連れていかれ、キリコという女性にあった後、大量のインコが占拠する城へヒミという女の子と向かう…という展開。流れが描かれてはいるが、シーンの変わり具合に驚いた方もいるのではないだろうか。だが、私はいちジブリファンとして、その混沌こそがジブリだよな、と感じた。思えば「ハウルの動く城」だって、主人公のソフィが急に魔女に呪いをかけられたり、「千と千尋の神隠し」だって、千尋が急にお湯やで働くことになったりと、不思議なことは多い。そう考えると、やはりこの作品はジブリを体現している、不思議で素晴らしいファンタジー作品である。