エルヴィス(映画)

Room3735のレビュー・評価・感想

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エルヴィス(映画)
2

残念な出来

必要以上にCGを用いたところが、かえって映画を安っぽいものとさせることになった。
一連の「エルヴィス・オン・ステージ」のシーン、ラスベガスのステージなどまさにその典型だ。
この監督の悪いところで、奇妙にマンガ的なコンテになる。
「ムーラン・ルージュ」を受け入れることが出来たファンならば、今回も同様だとは思うが…。
トム・ハンクスの「大佐」も久しぶりの出演ながら、期待に反した凡演。
特殊メイクも結局マンガをマンガとするばかりである。主演も鳴り物入りではあったが、ともかく破綻なくこなしたという以上の評価を与えられるものではない。
数多のヒット曲を散りばめて、しかしあまりにそれらが細切れにされすぎて、「音楽」として響いてこないのも不満を募らせる。
ただ、「エルヴィス」の幼少期、その生い立ちから描くことで、「黒人」に憧れたエルヴィスというひとりのアーティストを巧く表した。
これが、ラスト近く、「ジャクソン・ファイブ」の登場とエルヴィスの幕引きに絶妙に呼応して感慨を深くさせる。
「白人」に憧れてそして死んでいったマイケル・ジャクソンという、アメリカのもうひとりの不世出なアーティストとの、対比と相似を巧みに暗示させたこの演出には高い評価を与えておきたい。