サウンド・オブ・ミュージック

サウンド・オブ・ミュージック

『サウンド・オブ・ミュージック』とは、1965年に公開されたアメリカのミュージカル映画及びその原作となったミュージカルである。映画版の日本公開も同年に行われた。
主人公の修道女見習いマリアは、家庭教師先のトラップ大佐の7人のいたずらな子供たちや厳格な大佐と音楽を通じて心を通わせるようになっていく。しかしオーストリア併合に伴い進駐してきたナチスドイツ軍がザルツブルクにも駐屯、一家は国からの脱出を決意する。
監督はロバート・ワイズ、主演はジュリー・アンドリュース。
第38回アカデミー賞で作品賞、監督賞、編集賞、編曲賞、録音賞の5部門を獲得。第23回ゴールデングローブ賞ミュージカル・コメディ部門作品賞受賞。「ドレミの歌」「エーデルワイス」をはじめとする作中の多くの曲がスタンダードナンバーとなっており、リチャード・ロジャース作曲、オスカー・ハマースタイン2世作詞の原作のミュージカルは世界中で上演されている。

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サウンド・オブ・ミュージック
7

ミュージカル映画の名作。子供たちが全身で音楽の楽しさを表現する『ドレミの歌』は胸が熱くなる。

ナチスドイツが台頭した頃のオーストリアのある一家と修道女を描いたミュージカル映画だ。
退役海軍であるトラップ大佐の子供たちの元に家庭教師としてやってきた修道女マリア。
厳格な父親からまるで軍隊のような規律だらけの教育を受けていた7人の子供たちは、彼女の音楽を用いた教育法により瞬く間に心を開いていく。
マリアと子供たちが野山や町中を駆けながら歌うのは、誰もが一度は耳にしたことがある『ドレミの歌』だ。
ハーモニーや映像の美しさに目を奪われるのはもちろん、本来の活発さを抑圧されていた子供達が大自然の中で歌う姿に胸が熱くなる。

映画の中で歌われる名曲たちはどれも和訳が美しい。
特に『私のお気に入り』はマリアの好きな日常の1コマを軽やかに歌ったものだが、「まつげにつもる雪」「月の谷間飛ぶ鳥」など美しい表現にハッとさせられる。

終盤、ついにザルツブルクにナチスの侵攻が迫り、トラップ大佐の元に軍への出頭命令が下る。
物語は一家が追跡を躱しながらスイスへの亡命していくところで終わりを告げる。
深刻な社会情勢の中で堂々と一家が歌い上げた『エーデルワイス』は作中屈指の名曲だが、
自由に自分の思想を述べられる現代でもこうも純粋に愛国心を表現できるのか、
アイデンティティを周囲の状況に流されずに抱き続けることができるのか、と思わず考えてしまうだろう。
何度でも観たい名作だ。