風光る

kentos6のレビュー・評価・感想

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風光る
7

史実とフィクションのバランスがいい新選組作品

新選組を題材にした少女漫画。
主人公の「セイ」が家族の仇討ちのため、男と偽って新選組に入隊し、女であることを隠しながら一人前の武士として成長してくストーリー。
新選組を扱う漫画は数多いが、「風光る」は筆者が史実や当時の文化をよく勉強して作品を描いており、歴史の勉強になるレベルの作品である。
例えば、よくイケメンに描かれる沖田だが、この作品では史実にある「ヒラメ顔」はそのままに、
総髪にすることで少女漫画らしさも残すなど、史実とフィクションのバランスがうまく取られている。

少女漫画要素としては、セイと彼女の秘密を知る沖田総司、セイを男と思い込みながらも彼女を想う斎藤一の3人がメインとなる。
セイと沖田はふたりとも鈍感で、かなり長期間両片思いの状態が続くので、読者もやきもきしてしまう。
むず痒い、くっついてほしいけれどこの距離感もいとおしい!という少女漫画の醍醐味を味わえる。

ただ、史実に比較的忠実な作品なので、後半は政治的な話や当時の社会情勢に焦点が当てられ、逆に少女漫画的な要素は少なくなっている。
また、少女漫画にしては珍しく人の首が飛んだり、血が噴き出したりといった一部グロテスクなシーンもあるので、苦手な方は注意してほしい。