セッション / Whiplash

セッション / Whiplash

2014年、撮影当時28歳で全く無名だったデイミアン・チャゼル監督初の長編映画。サンダンス映画祭 W受賞を皮切りに驚異の記録で賞レースを席巻。名門音大に入学したドラマー(マイルズ・テラー)と伝説の鬼教師(J・K・シモンズ)、究極の師弟関係を狂演VS怪演で演じきり、狂気のレッスンの果ての衝撃のセッションは、誰も観たことのないクライマックスへと展開する。映画史上に残るラスト9分19秒は圧巻。

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セッション / Whiplash
8

ひねくれ者同士の戦い

この映画はひたすらに精神を追いつめられるものでした。
以下、ネタバレを含みます。
主人公はひねくれ者のドラマーで、なんやかんやあり、大学の良い先生にドラムを教えてもらえることになりました。
ただこの先生というのがなかなかの曲者で、生徒を精神的に追い詰めて良い演奏家として鍛え上げる、という教育方針でした。
教師も教師として苦悩することがあり、過去の教え子を亡くして涙を流す場面も見られましたが、現役の生徒に対している時のこの教師はとにかく鬼のようで、全く好きになれませんでした。
(教師を演じているJ・K・シモンズさんはとんでもなく格好良かったです。)
主人公はというと、ひねくれ者とは書きましたが、どちらかというと人に委縮している感じが強かったです。
友達や教師に対して尻込みし、気後れしている感じに見えました。
鬼教師と接して、プライドや自信の無い性格が変にひねくれてしまった感じです。
物語が進むにつれて、主人公の恋愛模様や学校生活における心情が、少しずつ変化する様子が演出されています。
この映画の特に辛い点は、ラストが物語としては全くすっきりする終わりではない所です。
主人公はその後どうなったのか、鬼教師はその後どうなったのか、公演はその後どうなったのか全く分かりません。
ラストに繰り広げられる凄まじいセッションにお茶を濁された感じです。
それでも、見た後は何故だか気分がすっきりとした感じを得られました。
謎の爽快感の理由は分かりませんが、このすっきり感は見た人しか感じられないものだと思います。
ストーリーとしては見ていて辛い点が多かったですが、俳優さんの演技も、映像も音楽も素晴らしいものでした。