ファーストラヴ

momiji24n6のレビュー・評価・感想

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ファーストラヴ
8

それぞれの「愛」の物語

北川景子さん演じる公認心理士・由紀が、芳根京子さん演じる女子大生・環菜の闇を紐解きながら、自分自身の闇と向き合っていくという構成で、二人の心の内が明らかになるにつれどんどん二人の過去に引きずり込まれ、物語に没頭してしまいました。二人の過去は衝撃的ですがどこか共感できる部分もあり、どのように性と向き合い、大人になっていけばよいのかということを考えさせられました。裁判のシーンでは、大人たちに囲まれながらしっかりと話す環菜に成長を感じましたが、トラウマを持った彼女が徐々に心を開いていく様子をもう少しゆっくりと見られたらなと思いました。
我聞は由紀と迦葉を愛情深く包み込み、それによって迦葉は由紀と家族になることができ、「初めての愛情」が実った三人である。一方で、環菜は初めて好きになった人に自分の人生をかけて証言をもらい、結果救われることはありませんでしたが、自分の言葉を受け止めてもらうことで、最後には初めて愛し愛されることができるようになったのではないかと思います。
内容だけでなく、俳優さんたちの演技が素晴らしく、特に芳根京子さんは掴みどころがない序盤から恐怖に向き合い話す裁判シーンまでの振り幅にとても心動かされました。大スクリーンでの皆さんの演技は迫力があり、また集中して観たいシーンも多いので、映画館で観れて本当に良かったと思います。