白い恋人たち(映画)

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白い恋人たち(映画)
7

1968年冬季オリンピックを描いた絶妙の映像詩・『白い恋人たち』

『白い恋人たち』は、1968年のフランス・グルノーブルでの冬季オリンピックの情景をクロード・ルルーシュ監督が詩的に切り取って編集した記録映画です。同年に日本でも公開されています。仏語の原題は「13 Jours en France」です。これは「フランスでの13日間」を意味します。
映画音楽を手がけたのはフランシス・レイ。ルルーシュの映像に負けず劣らず、こちらも詩的で(若干メロウでしかもセンチメンタルで)、映画全編を通してリフレインで奏でられています。映画への挿入歌は、ルルーシュの作品『男と女』の主題歌を歌ったピエール・バルーとニコール・クロワジールによる歌唱で、フランシス・レイのメインテーマと絶妙のマッチングの粋を醸し出しています。
撮影には約20名の関係者と約60台のカメラが動員されて、90000万フィート以上のフィルムが消費されたとのことです。映像で特筆すべきは、有名なスキーカメラマンのウィリー・ボーグナーがカメラを持ってストックは持たずに観桜競技の選手の後を追って高速で滑りながら撮影した場面で、観客は迫力のある映像に驚かされました。
冬季オリンピックと同年の5月にはパリで世に言うところの5月革命が勃発してカンヌ映画祭が中止されて、上映されるはずだった『白い恋人たち』は日の目を見ませんでした。それから40年後のカンヌ映画祭(2008年)のクラシック部門のオープニングで上映されたという所以があります。