ザ・サークル

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ザ・サークル
9

近未来の社会と人々を表現した作品

ITに囲まれた(半ば支配された)現代~近未来世界を描いた作品です。ネット上で、自分のプライベート情報を、無邪気に公開する人、その公開を求める人、公開をしてほしくない人、公開した情報で人を振り回す人、振り回される人を描いています。「サークル」内にいる人々は、そこで情報を共有することで仲良くなり、信頼関係を深めていきます。家族が病気になったとしても「サークル」の情報、技術を使うことで改善が見込まれます。その様は、オープンでもあり、秘密基地のようでもあります。自分の日常生活、情報を仲間と分かち合うことで、喜びを感じる人たちは、他人の情報も公開していきますが、それを期にすることはありません。それが正義であり、正しい道であると信じて疑わず、その様は次第にエスカレートしていきます。それによって、「サークル」の外にいる人々の気持ちや、傷つく人がいることなどは関係ないようです。人間らしくもあり、まるでロボットのようでもある「サークル」に属する人達を描いていますが、現代社会及び近未来の世の中を象徴しているような気がして、身につまされます。一旦ボルトインしたら世の中は元の世界に戻らないと言われますが、本当にそうなのかもしれないと、恐怖さえ感じました。