BUNGO -ブンゴ-(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『BUNGO -ブンゴ-』は二宮裕次が手掛ける日本の野球漫画。『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で2015年3号から連載が始まった。単行本は2021年11月時点で、累計発行部数は390万部を突破している。主人公のブンゴは、興味を持ったことを見つけると、そのことだけに熱中する凝り性な性格の持ち主。ブンゴがこだわる球種はストレート。何年もの壁当てが礎となりストレートはブンゴの強力な武器となっていた。地道な努力を重ねるブンゴ。全国クラスのシニアチームに入り、周囲と切磋琢磨しながら成長していく。

『BUNGO -ブンゴ-』の概要

『BUNGO -ブンゴ-』は二宮裕次が手掛ける一人の少年の挑戦と成長を描いた日本の野球漫画。『週刊ヤングジャンプ』(集英社)で2015年3号から連載が始まった。単行本は2021年11月時点で、累計発行部数は390万部を突破している。主人公のブンゴは、興味を持ったことを見つけると、そのことだけに熱中する凝り性な性格の持ち主。幼少期、金魚に興味を持ったブンゴは、遊びにも行かずに延々と水槽の中で泳ぐ金魚を見つめていた。将来を不安に思った父親の雅則は、ブンゴに野球用のグローブとボールをプレゼントする。これがブンゴの野球の道を歩みだす一歩となった。家の内壁に的を作り、ひたすら的に投げ続けるブンゴ。金魚のことは頭から離れて野球一色になった。この時は野球のルールすらも知らないブンゴだったが、隣町に住む野田と出会い、よりレベルの高い野球選手を目指すことを決意する。そんなブンゴがこだわりぬく一球がストレート。何年もの壁当てが礎となりストレートはブンゴの強力な武器となっていた。ブンゴ自身もストレートに自信を持っていたが、一方で地道な努力を怠らなかった。全国クラスのシニアチームに入り、チームメイトと切磋琢磨しながら成長する姿を描く作品となっている。

『BUNGO -ブンゴ-』のあらすじ・ストーリー

ブンゴ野球の道へ

雨の日にも関わらず壁当てを続けるブンゴ

12歳の時、主人公のブンゴはほかのことには目もくれず、ずっと熱帯魚を見ていた。
その様子を見てブンゴを心配した父親は、野球のグローブとボールをプレゼントする。以降、ブンゴはボールを投げることとグローブでボールを取ることに熱中するようになる。これが野球の道を歩む第一歩となった。

ブンゴの関心は熱帯魚から壁当てに移った。ある日、隣町に住む同級生でのちにライバルとなる野田幸雄(のだゆきお)と出会う。
ブンゴは、初めてマウンドに立ち、野田に1球を投じた。渾身のボールは球場の外へ運ばれる。これを機にブンゴは、野田から三振を取りたいと心に誓う。

ブンゴは野田と同じ中学校に進学する。野田が野球のシニアチーム静央(せいおう)シニアに所属していることを知り、ブンゴは野球の素人ながらも同じチームに入る。キャッチングもままならないブンゴだったが、指導役で同級生の神谷真琴(かみやまこと)から基礎を教わる。
数か月の経験しかなかったブンゴだが、毎日壁当てを続けたおかげで速球を持ち味とした投手の才能を秘めていた。野田の背中を追いかけ、ブンゴは練習の日々を送った。

ブンゴはもともと左利きだったが、野球の知識がなかったため「野球は右手で投げるもの」と勘違いしていた。静央シニアに入ってから左手で投げている選手がいたことから、利き手で投げてもいいと知ったのであった。
しかし、利き手で投げるようになってからコントロールに悩まされていた。3年間以上にわたって、利き手ではない右投げをしていたブンゴにとって、急な矯正は難しかった。

野田は「教えてやる」とブンゴを自宅の室内練習場に連れていく。バッターボックスで構える野田に対して、ブンゴが全力投球を始める。しかし、ボールはストライクゾーンに入らず、ボールの山を築く。さらには、野田へのデッドボールも連発してしまい、全力投球を恐れてしまう。
怖気づくブンゴに対して、野田は発破をかける。野田は甲子園を目指すため、自分が日本一の打者に、ブンゴが日本一の投手になることを望んでいた。

野田の気持ちにこたえるかのように、ブンゴは再び思い切り利き腕を振り切った。ボールはストライクゾーンにいき、野田のバットは空を切った。

静央シニアで紅白戦が行われた。レギュラー組のAチームと控えのBチームによる対戦だった。監督の気まぐれで自分の息子である野田をBチームに入れて、レギュラー組と戦うことになる。
ブンゴは、同級生であり後のブンゴの信頼できる捕手となる袴田(はかまだ)とバッテリーを組んだ。Aチームに静央シニアの絶対的エースの吉見(よしみ)がいた。
ストレートのノビと変化球のキレは抜群。周囲からは監視者と呼ばれ、相手の行動を見透かす鋭い観察眼も持っていた。

エース吉見は、野田から2連続で三振を奪う。ブンゴは、一流の打者として感じていた野田を圧倒する吉見のすごさに心を震わし、闘志を燃やす。
一方の野田もやられるだけにはとどまらない。吉見の癖を見抜いて、スプリットボールをホームランにした。

最終回、ブンゴに登板の機会が訪れる。レギュラーの水嶋やマコトから2者連続三振を奪う。紅白戦を見に来ていたスカウトは「野球を始めて1か月の素人がなぜ」と目を疑った。
しかし、チームの4番で強打者の鮎川(あゆかわ)には、ホームランを打たれてしまう。実は、投手としての指先のケアも知らず爪が割れてしまっていたのだった。
ブンゴと野田らは惜しくもAチームに勝てなかった。この試合以降、吉見とブンゴは互いを意識するようになる。

夏季関東大会を迎え、レギュラー投手の1人が負傷したためブンゴが控え投手に選ばれる。一回戦の登板を任されることになったブンゴ。相手は格下のチームで、17得点の5回コールド、ブンゴはノーヒットノーランを達成する。

ブンゴ覚醒

静央シニアのエースだった吉見は、ライバルチームの上本牧シニアに敗れて以来、イップスに悩まされていた。
イップスとは心理的な理由で、身体が思うように動かなくなる症状である。上本牧(かみほんもく)には4番の立花(たちばな)と2年生エースの下川(しもかわ)がいた。

イップスの原因は、1年前の試合で、上本牧から8点を奪われたことである。苦しむあまり野球が楽しくないと感じていた頃もあった吉見だったが、純粋に野球を楽しんでいるブンゴを見て自身を見直すきっかけとなった。ブンゴに一から野球を教えつつも、自分の野球スタイルや姿勢を見つめなおす吉見。そして、1年前の雪辱を果たすために吉見は、上本牧戦のマウンドに立つ。

ブンゴのノーヒットノーランの達成に勢いづく静央シニアは、順調に勝ち進み、4回戦で上本牧とぶつかる。吉見の立ち上がりは絶好調で、初回を三者凡退に抑える。
この試合は注目度が高く、スタンドにはスカウトのほか、流山シニアのエースでU12の日本代表の家長太陽(いえながたいよう)の姿があった。
拮抗した試合が続く中、4回表に思わぬ事態が訪れる。内野ゴロで1塁のカバーに走った吉見が、バッターと交錯して脇腹を痛めてしまうのだった。

吉見はチームに悟られないように、ピッチングを続ける。しかし、これまでのような投球とはいかず制球が定まらない。その姿はチーム内外にも不調として見えていた。
昨年の試合の影響を思い出したことでイップスの症状が出たのではと、監督やチームメイトは心配した。しかし吉見は、切り札のスプリットで立花を三振に打ち取ってみせる。

静央シニアの士気は上がり、データになかったスプリットという新球に驚きを隠せなかった。その裏、吉見の女房役を務める4番鮎川がツーランホームランを放ち、先制に成功する。
一方、吉見の脇腹の痛みは増していた。誰も気付かない中で、ブンゴは怪我を見抜く。それに対し、吉見は口外しないようにブンゴに指示するのであった。

何とか持ちこたえてきた吉見だったが、6回裏に限界を迎える。打席には4番立花にホームランを打たれてしまう。静央シニアは同点に追いつかれてしまった。なんとか7回までを抑えることができたが、これ以上の吉見の登板は難しいと判断された。そして、吉見はあとのマウンドをブンゴに託したいと監督に進言する。野球を始めて間もないブンゴが、大事な1戦の延長戦に登板することになった。

ブンゴはストレートしか投げられなかったが、吉見はそれで良いと言う。守備もバント処理もできないブンゴ。あっという間に3塁に進塁されてしまうが、仲間のフォローもあり、何とか凌いでいく。
そこで打席には4番の立花が立つ。吉見は、敬遠するようブンゴに告げたが、ブンゴは納得しなかった。「必ず抑える」と闘志をあらわにし、見事に三振を取って見せた。
その光景に、姉のかおりは涙せずにはいられなかった。

また、ブンゴの姿に感化された野田は、下川から本塁打を放つ。チームは上本牧に勝利し雪辱を果たすのであった。
静央は全国の切符を掴む。全国優勝を目指したチームだったが、準決勝で惨敗しベスト8で姿を消した。

静央シニア 新チーム始動

背番号10をつけたブンゴ

日本選手権大会から2年の月日が経ち、ブンゴたちは3年生になっていた。
上本牧戦で強烈な投球を見せたブンゴだったが、彼の背中に付いていたのは14番の背番号。エースは、鮎川の弟の瑛太(えいた)が奪っていた。それでも、ブンゴはあまり気にせず、地道な鍛錬を繰り返していた。

野田のブンゴへの評価は変わっておらず、チームの捕手を任されていた袴田もブンゴに大きな期待を抱いていた。
ブンゴの持ち味の直球を活かすため、変化の大きいカーブを身に付けようとする。そして、名門チームとの練習試合が決まる。

対戦相手は宮松シニア。試合でブンゴは二番手ピッチャーとしてマウンドに立つ。5回までは瑛太がなんとか強力打線を抑えていたが、とらわれ始めていたため、マウンドを降りていた。マウンドに立ったブンゴは、打たれることを前提でカーブを試し、手ごたえを掴んだ。

ブンゴだけでなく、全体的に成長するチームの様子を見て、野田監督は「ことしは全国で優勝できるチームだ」と確信する。そして、真のエースを決めるために紅白戦を実施するのであった。
レギュラーであるはずのブンゴは、控えチームに入れられていた。これはレギュラー陣を抑えることができたらエースになれるという監督の示唆だった。
ブンゴはなんとか静央打線を抑えたが、4回裏に野田にスリーランを打たれてしまう。それでもブンゴは諦めることなく、今の自分の本気を球に込めて投球を続けた。最終回の7回、得点は同点になる。

90球を超え限界が近づいていたブンゴ。ベンチでは交代の声も出ていたが、野田監督は少年たちの野球に向き合うさま、エースをかけて戦うブンゴの姿を見て交代を告げることができなかった。
肩で息をするブンゴは米村を呼び、「これから投げる球は捕れなくてもいいからなんとか前に落としてくれ」と告げる。

ブンゴは、カーブだけでなくストレートも進化させていたのだ。ブンゴの投げた球はスピードとともにホップして高めに浮いてきて、米村はミットにおさめることができなかった。
浮いてくる真っすぐに驚きを隠せないチームメイトたち。野田は全神経を集中させてバットを振った。結果は三振となりブンゴに軍配があがる。互いを認め合うかのようにブンゴと野田は見つめ合った。
その後、ブンゴは投球数が規定の数となったため降板。延長に追加点をとられてブンゴたちのチームは惜敗した。

ブンゴたちが練習するグラウンドに1人のOBが現れた。柿谷結弦(かきたにゆずる)、甲子園の常連校の青森真田(あおもりさなだ)の2年生だ。
柿谷は、野球レベルの高い吉見を気に入り、しばしば静央シニアの練習を見に来ていた。
ブンゴは1年生の頃、吉見を見に来ていた柿谷と偶然にも会う。その時、柿谷はブンゴの野球センスを見抜き、2年後に来ることを約束していたのだ。

ブンゴは、柿谷に今の自分を見せるためにマウンドに立つ。しかし、3打席勝負で、2打席打たれてしまう。新たに身に付けたホップするストレ―トすらもたやすく弾き返されてしまったのだ。
柿谷は「2年前にワイが言うたことを何も理解してへんかったようやな」と言葉を残し、グラウンドを去った。これまでの2年間はなんだったのかと自問するブンゴだった。

後日ブンゴたちは、甲子園の常連校で吉見が進学した翔西大付属高校(しょうざいだいふぞく)と、柿谷が所属する青森真田高校の練習試合を見に行く。吉見はブンゴに今の自分を見せた。
すばらしいフォームに緩急を付けたピッチング、そして、最速149キロの直球。柿谷を難なく三振にしてしまう。
ブンゴは吉見の姿を見て、「自分はまだまだ」と闘志を燃やし、再びエースナンバーを瑛太から奪うことを心に誓った。

エースナンバー奪還へ

伴野と初対戦を迎えることとなったブンゴ

いよいよ夏の大会が始まる。エースナンバーは瑛太だが、監督はこの大会で静央の真エースを決めようと考えていた。

1回戦を勝利し、2回戦で上本牧とあたる。1年生ながらにして、強力バッテリーを抑えたブンゴにリベンジを誓う上本牧。ブンゴも先発投手としてマウンドに立った。
ブンゴは、初球からホップするストレートを全力で投げ込み、初回を危なげなく抑えた。捕手の袴田は、全身を使って投げるこのストレートは体力の消耗が激しく、不安を覚えていた。
一方、ブンゴは「1点もやらない」と闘志を燃やす。

ゼロゲームが続いていた。上本牧の先発ピッチャーは、昨年までチームのエースピッチャーとして活躍していた下川の弟が起用され、いいピッチングを見せていた。
この投手戦、2回を残した段階で、ブンゴはノーヒットノーランを継続していた。

なんとか援護したいと奮起する静央打線。袴田やマコトらがなんとか出塁し、先制のチャンスをつかむ。打席には4番野田が立つ。
しかし、この時の野田は不調に悩まされていた。原因はブンゴだった。ブンゴの目覚ましい成長を目の当たりにしたため、自分の成長具合などを比較しバッティングに影響していた。
さらに、この試合で守備をしていた際、打球が直撃したため手を痛めてしまっていた。

監督は不調を見抜き交代を告げる。しかし野田は、自分を信頼してくれるブンゴと自分自身のために打席に立ち、長打を打つ。静央は先制点を挙げた。そしてブンゴは、上本牧に対してノーヒットノーランを達成した。

アメリカ大リーグのスカウトが注目する、河村幸一(かわむらこういち)が所属する富士ヶ丘(ふじがおか)との試合を迎える。本塁打を量産する逸材として知られ、アンダー15の日本代表にも選ばれているスラッガーだ。
河村は、自身の直感からブンゴを一流投手と評する。一方で、エースナンバーをつける瑛太のことは気にもとめていなかった。

それに気づいた瑛太は河村を抑えることを心に誓う。そして先発のマウンドに立ち、河村との初打席に挑む。
この日もキレのある変化球を投げて好調の瑛太。河村を打ち取るインハイギリギリのコースにボールを投げた。河村はとっさに片手で対応する。打球は無情にもスタンドに入ってしまった。

試合はシーソーゲームの展開になった。上本牧戦まで不調だった野田は、好調の状態にもっていくだけでなく、自身のバッティングを進化させていた。
1点を追う展開で野田は、チームメイトが打ちあぐねていた藤ヶ丘の先発、碓井(うすい)から逆転ホームランを放つ。
河村も黙ってはいなかった。この大会の打率は10割。瑛太との2度目の対決もヒットを打ち、ここまでで15打席すべてで安打を記録していた。

5回、瑛太は河村と3度目の対決を迎えた。
ブンゴからエースナンバーを守るため、静央の大黒柱となるため身につけたジャイロスライダー。新球は河村にも通用すると思っていた。しかし、河村は2打席目ですでに対応できるようにフォームを調整していたのだ。
瑛太が投げた渾身のジャイロスライダーは、この試合2本目となるホームランにつながった。そして、瑛太は心を打ち砕かれ、ブンゴに「助けてくれ」とからだを震わせた。

河村は、瑛太の姿を見て「才能がないからだ」とつぶやいた。このことばを耳にしたブンゴは、怒りを覚える。河村を必ず打ち取るとマウンドにたった。
6回を無得点に抑えたブンゴだが、チームは2点を追う苦しい展開。それでもブンゴは、7回も投げる機会が回ってくると信じてウオーミングアップを続けていた。
この姿を見たチームメイトは、必ず逆転すると奮起し、逆転に成功する。そして、最終回を迎えた。

1人目のバッターは碓井。ブンゴは、なんなく三振にしてしまう。続くバッターは河村。ここまで全打席で安打を記録している10割バッターと、無失点記録を続けている防御率0.00のブンゴとの対戦となった。
ブンゴはホップする真っ直ぐを投じる。さすがの河村は、バットに当ててしまう。さらに真っ直ぐを投げるブンゴだったが、河村は対応し始める。

自信を見せる河村は、ブンゴにカーブを投げるように要求する。真っ直ぐでは自分を打ち取ることはできないと挑発する。
追い詰められているはずのブンゴは3球目、ホップする真っ直ぐと同様、大きくからだをしならせて思い切り腕を振り抜いた。河村のバットは空を切る。ブンゴが三振を取るために投げたのは、瑛太の武器でもあるジャイロスライダーだった。

瑛太よりも急速があるブンゴが投げるジャイロスライダーは、スピードという弱点を克服し、並大抵のバッターでは打てない変化球だ。
この瞬間、ブンゴは誰もが認める静央のエースになったのだ。試合は1点差で勝利をおさめた。

富士ヶ丘シニアを倒した静央だったが、ベスト8で姿を消してしまう。
この大会で大きく変わったことがある。それは、ブンゴがエースナンバーをつけることになったことだ。チームは、全国優勝を目指し新たな一歩を踏み出した。

ちょうど、この時期、アンダー15の日本代表による世界大会が開かれた。静央からは野田が招集され、河村や家長、伴野(ばんの)など有名プレーヤーたちが日の丸を背負っていた。
日本は強く、決勝戦に進み、アメリカとの1戦を迎えることになった。

アメリカは球速150キロ越えのエース、マイケルを中心に強打者がそろうチームだった。
日本は、マイケルのストレートになかなか対応できずにいた。あの河村でさえも打ち損じるなど苦戦を強いられる日本。ただ、レベルの高いマイケルと対峙したことで、野田のバッティングは次のステージに進もうとしていたのだ。

マイケルの150キロ越えの速球にも食らいつき、決め球の一つチェンジアップにも対応し始める。打たれるのではという危険を察知したマイケルは高速チェンジアップを投じる。野田は、見事にボールをとらえる。
この一打がチームを勢いづけ、得点に成功。日本代表は世界大会で優勝を果たした。

世界大会が終わり、日本で再び全国大会が開幕した。
エースナンバーを背負ったブンゴが率いる静央は1、2回戦を難なく突破した。一方、河村率いる富士ケ丘は2回戦で、日本代表にも選ばれている伴野が率いる知多翔洋(ちたしょうよう)と対戦。
激戦の末、知多知多翔洋が勝利し、3回戦で静央と戦うことになった。

静央は、ブンゴや瑛太をできる限り温存して試合に臨んでいた。
2人の影に隠れているが3番手の投手石神(いしがみ)も能力は高い。初戦を任された石神は、5回まで失点を2に抑える好投を見せる。
対戦相手の北九州(きたきゅうしゅう)は全国ベスト8クラス。ピンチを迫られた場面もあったが、ブンゴに背中を押されて、北九州打線を抑えることに成功した。

しかし、守備のミスから得点圏にランナーが出てしまい、途中からブンゴがマウンドに立つ。
エースナンバーをつけての登板となったブンゴは、これまでの試合とは違う感覚を覚える。相手ベンチやチームの様子、観客の盛り上がりなど、すべてが冷静に見えた。これが、エースナンバーをつけたピッチャーが見る光景だと気づく。

力みもなく投じたボールは中学生にして140キロ越えを連発。北九州打線を抑えて快勝した。続く、2回戦も圧勝する。
しかしこの試合で袴田がクロスプレーの際に手首を痛めてしまい、次戦でマスクをかぶることができなくなった。

静央は、河野率いる富士ケ丘を倒した知多との一戦を迎える。
負傷した袴田の代わりに捕手のマスクをかぶるのは、ブンゴの練習相手となり実力を伸ばしてきた米村だ。

試合が始まる。先攻は知多で、マウンドにはブンゴが立つ。
ブンゴは先頭打者や2番打者を三振にとり、3番で知多のエース、三科沙良(みしなさら)は四球になる。ブンゴは4番の伴野と対峙し、さらに進化させようとしていた新型のストレートを試すことにする。これまでは、握りの部分の指を開くことで制球を重視してきたが、指を合わせることで球速をあげるとともにキレのある浮き球を目指していたのだ。

負けられない試合の中で、ブンゴは自身のピッチングを向上させるための練習台にしていた。伴野は、想像していた以上のブンゴの実力に驚きを隠せなかった。
ブンゴは、伴野を追い込み、ストレートの軌道からカーブの軌道に変化するボールで三振を奪う。一方、三科も負けてはいなかった。えぐるようなキレのあるボールで静央の上位打線を抑えた。

知多の下位打線に対して、ブンゴは出し惜しみをしなかった。
勝負強い伴野を打ち取るためには、試合中に新球のストレートを完成させる必要があった。新球を投げ続けるブンゴだったが制球が定まらない。それでもブンゴは冷静な状態で試合に臨んでいた。
ツーアウト三塁のピンチに、ブンゴは新球のストレートを完成させて三振を奪うのであった。

剛速球を投げるブンゴの球を受け続けてきた米村は、左手を痛めてしまう。袴田も座ることが出来ない中で、野田は自らがマスクをかぶることを監督に提案する。
小学生の頃からブンゴとともに成長を遂げてきた野田が捕手になることが妙案だった。

野球センスの高い野田とあって、ブンゴの新球ストレートの捕球もしてしまう。さらに、野田はブンゴにもっと投球のレベルを上げるように鼓舞する。
それに応えるかのようにブンゴは全身全霊のストレートを投げ、球速は中学生にして150キロを超えていた。

6回裏、静央は1点差でリードする。それに対し、知多の三科が振り逃げで出塁すると、この日3度目の対決となる伴野の打席を迎える。
ブンゴは、渾身のストレートを投げて伴野をツーストライクに追い込む。ひそかに野田は秘策を考えていた。

実は、伴野を追い込んできたストレートは、旧式のカットするストレートだった。ブンゴの新球ストレートはライズシュートするもので、同じ球種とあって異なる2種類のストレートを投げ分けられるようになっていた。投球フォームから投げられる2種類のストレート。野田は、最後に新球のストレートを投げるようにブンゴにサインを出す。それに気づかない伴野。渾身のストレートに対して、伴野のバットは空を切った。
静央は7回表に2点本塁打を放ち、3対0で勝利をおさめた。

『BUNGO -ブンゴ-』の登場人物・キャラクター

静央シニア

石浜文吾(イシハマ ブンゴ)

物語の主人公。好きなことにはとことんまで熱中する性格で、一度やると決めたことは決して投げ出さない行動力をもっている。地道な練習も苦にせず誰よりも練習に時間を割く。野球を始めたきっかけは父からプレゼントされたグローブだった。幼少期、自宅の庭で壁当てを続けたブンゴは、雨の降る日も嵐の日もボールを投げ続けた。この経験が中学を代表する投手へとつながることになる。父親は、野球のルールを知らず、ブンゴが野球を始めた当初は右投げで練習させていた。その後、小学生ながら全国区として名前が知られたライバルの野田と出会い、ブンゴの成長は顕著になった。

野田幸雄(ノダ ユキオ)

ブンゴのライバル。天才打者と称され、小学校から全国区の選手と知られている。天才と言われながらも努力を怠らない。野田自身もブンゴと出会ったことで、自分の野球レベルを高めることができるようになった。優れた投手と分析しているブンゴに合う最強バッターを目指して鍛錬に励む。他人に厳しいが自分にも厳しい性格。12歳以下の日本代表に選ばれ、4番打者を務めた経験がある。父は野球バカで自宅に野球の練習施設を作る力の入れようだ。ブンゴの姉かをりにひそかに好意を寄せている。

神谷真琴(カミヤ マコト)

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