ドラマ「私を離さないで」と併せて見れば、さらに面白い。原作小説の世界観。

現在TBS系列で放送中のドラマ「私を離さないで」。ハリウッドでの映画化や日本での舞台化など、カズオ・イシグロ原作のこの作品の魅力をご紹介します。

私を離さないで

発売後に英国でベストセラーとなると、すぐにその波は世界中に広がり、映画化もされたカズオ・イシグロの「わたしを離さないで」。「提供」という一つの運命を背負った主人公たちの数奇な運命がつづられている。

英米でベストセラーとなったカズオ・イシグロの最新長篇『わたしを離さないで』は、発売後ただちに《タイム》誌のオールタイムベスト
100(1923~2005年発表の作品が対象)に選ばれる快挙を成し遂げただけでなく、《ニューヨーク・タイムズ》《パプリッシャーズ・ウィークリ ー》《シアトル・タイムズ》《グローブ・アンド・メール》の主要紙誌においても2005年のベストブックの一冊に選定された。また、ヤングアダルトの読 者に読ませたい成人図書に与えられるアレックス賞を受賞したほか、ブッカー賞、全米批評家協会賞、コモンウェルス賞、BBCブッククラブ賞の最終候補に もなるなど、2005年に発売された英語圏の小説でもっとも話題になった一冊だ。

出典: www.amazon.co.jp

物語の冒頭にはこう書かれている。「1952年 不治とされていた病気の治療が可能となり 1967年 人類の平均寿命は100歳を超えた」。それは機能しなくなった内臓を新しいものと取り換え、寿命を延ばすという治療法で、その「提供」をするためだけに生み出された子供たちがいました。

生まれながらに不条理な運命を背負わされながら、彼らは恋をし、それぞれの青春を過ごしていく。果たして、彼らは運命にあらがうことができるのだろうか。命とは何なのか、生きるとは何なんかを改めて考えさせられる一冊です。

劇場版「わたしを離さないで」

物語の主役キャシーを演じたのは「17歳の肖像」などで知られるキャリー・マリガン。幼いころから彼女の大切な存在だったトミーを親友であるルースに奪われ、また自分の背負っている運命に大きな疑問を持ちながら生きる少女を熱演しました。

寂しがり屋でワガママでなルースを演じだキーラ・ナイトレイ。さらにトミーを演じたアンドリュー・ガーフィールド。両者ともこの映画の公開を通じて、さまざまな賞にノミネートされ話題となった。繊細に揺れ動く若者の心を演じ、多くの人の共感を呼んだ。

この物語にハッピーエンドはあるのだろうか。あらすじを知ればするほど、そう思わざるを得ない。彼らが目指したのは同じように生まれた外の世界の人間のような暮らしだったのに、その命の重さはどうしてそんなにも違っているのでしょうか?まだ映画をご覧になっていない方は、映画をご覧になることをお勧めします。

ドラマ「私を離さないで」

現在TBS系で放送されているドラマ版の「私を離さないで」。物語の舞台は日本へと移ります。語り部となる女性、恭子を演じているのは綾瀬はるかさん。その恭子を振り回す美和を演じる水川あさみさん。さらにその二人の間で揺れ動く男性、友彦を演じたのは三浦春馬さんです。

原作と同じよう、何も知らず、何も疑うことなく塀で囲まれた学校の中で幼少期を過ごした彼ら。事実を知り、それでも夢を見たり恋をしたりと、自分が生きている意味や実感を探そうと必死に苦しみます。

舞台が日本へと移ってきたことで、人間同士のドラマもさらにリアリティが増しています。ドラマ版ではどんな結末が待ち受けているのか、とても楽しみです。

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