私がわたしを売る理由(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『私がわたしを売る理由』とは、夏子久が、2022年3月22日からサイコミにて連載開始した漫画だ。
お気に入り登録は35万を超え、次に来る漫画賞にもエントリーされた。
親の支援を受けず、大学生活を送る椿。ある日、緊急事態宣言で生活が苦しくなり、パパ活を始めてしまう。パパ活相手からストーカーを受け始めた椿は、ある手段に出る。
パパ活が問題視されている世間のリアリティと、椿の恋愛がもどかしく、切ないのが魅力のヒューマンドラマ。

『私がわたしを売る理由』の概要

『私がわたしを売る理由』とは、2022年3月22日からサイコミにて連載開始した夏子久による漫画だ。1章は完結済みで、単行本は3巻販売されている。
お気に入り登録は35万を超え、次に来る漫画賞にもエントリーされた。
主人公の椿のパパ活と恋愛を描いたヒューマンドラマ。同タイトルに、出町つかさ著の『私が私を売る理由』という小説があるが、本作とは全く関係ない。
『私がわたしを売る理由』というタイトルには、パパ活をして、自分の時間と心をお金に換えるという意味が込められており、ストーリーでも、椿がパパ活で精神を削られている様子が分かる。
生まれた家庭環境によって、自分の人生を決められたくないという主人公の自立心が、思わず応援したくなる作品。パパ活の怖さや、未熟な女性の心の弱さがひしひしと伝わるのが魅力だ。
SNSで話題になり、パパ活を始めようとしていた女性が、この漫画を読んで、パパ活をやめたりするなどの影響を与えている。

『私がわたしを売る理由』のあらすじ・ストーリー

生活の為パパ活を始める椿

貧乏な家庭で生まれ育った椿は、いい大学に入学し、一人で生きていくため、友達と遊びに行くことも我慢してバイト漬けの生活を送っていた。両親からの援助もなく、奨学金とバイト代で学費と生活費を賄うしかなかったからだ。しかしある日、緊急事態宣言が出されたことで、バイトを休まされる日が多くなり、生活が苦しくなってしまう。慌てて他のバイトを探している中で見つけたのが「パパ活」だった。「お茶をするだけでお金がもらえる」というおいしい文句につられ、パパ活を始めてしまう。

ストーカー被害で苦しむ椿に待っていた結末

パパ活に良いイメージを持たず、最初は恐怖が大きかった椿。慣れない男性との会話や食事にも戸惑い、なかなかうまくいかなかった。しかし、金銭を短時間でもらえる魅力に抗えなくなり、何度もパパ活を繰り返していく。その中でできた和也という固定のパパ活相手のおかげで、金銭面に余裕ができた椿。和也は無口で、椿とも会話があまり続かなかったが、それなりにうまくやっていた。
椿はお金に余裕ができたことで身だしなみに気を遣うようになった。しかし、今まで無頓着だった椿には、おしゃれというものがよくわからなかった。そこで大学の中でおしゃれな礼に相談する。常に自分を磨いている礼は、野暮ったい椿のことが気に食わなかったのだが、椿からおしゃれに関して相談を受けたことから親交が始まり、次第に仲良くなっていく。
おしゃれリーダーの礼に相談して、身なりに気を使えるようになり、礼と仲良くなったことによって、友達と飲み会に誘われる回数も増え、大学生活も充実してきた頃、さらに金銭面に余裕ができた椿は、大学のレポート等に使うパソコンを買うことを考え始める。パソコンのことにあまり詳しくない椿はパパ活相手の和也にパソコン選びに付き合ってもらうが、中古でも自分が手の出せる金額ではなかった。すると、メールアドレスの交換を条件に、和也にパソコンを買ってもらうことになるが、和也にノートパソコンを買ってもらった際、椿が学割の為にだした学生証をうっかり和也に見られてしまう。和也は人畜無害そうな表情から一転、にやりと笑い、椿の個人情報を記憶して、椿をストーカーするようになる。和也は大学の前で待ち伏せをしたり、椿の家の前に監視カメラをつけたり、ついには家の前まで現れるようになり、椿は恐怖で家に帰れなくなってしまった。

そんな時、前々から和也のストーカー被害の相談をしていた大学の友達の蒼真に、「うちにおいで」と言われ、匿ってもらう。そこで前々から椿のことを可愛いと思っていた蒼真に告白され、2人は恋人になる。椿は幸せを感じる一方、蒼真に秘密でパパ活をしている罪悪感に苦しめられた。
蒼真とのことを考え、椿はパパ活をやめる決意をし、勇気を出して和也に直接別れを告げる。しかし和也に、「パソコンのお金を返すまで会ってもらう」と条件をつけられ、お金のことに関して引け目があった椿は縁を切ることができなかった。SNSで、同じようにパパ活をしている女性たちと知り合い、ストーカー被害について相談するが、女性たちには「椿の自業自得だ」と苦言を投げつけられ、相手にもされなかった。そんな中、実父が自宅に現れる。実父は腰の治療の費用を椿にせがむ。実父の関係はよくなかったが、実父の腰が完治すれば、また家族で笑いあえると信じ、実父へ定期的にお金を渡すことを約束する椿。
蒼真と会う時間を我慢し、バイトを増やしても出費が間に合わず、椿は追い込まれていく。そしてついに実父へ渡すお金を稼ぐため、和也とのパパ活を再び始めた椿。偽りの自分を演じ、心を売ることで、段々自分が汚れていくのを感じていた。
蒼真に匿ってもらって以降、彼の家にいついていた椿だったが、和也と秘密で会っている罪悪感から、蒼真の家を出る。しかし蒼真は、電話で元気のない椿の声を聞き、異変に気付いて椿の元へ駆けつけた。蒼真は、「椿がそばにいてくれるだけでいい」と言葉をかける。蒼真の優しさに泣き崩れる椿は、「この人と一緒にいたい」と強く願うようになった。
しかしだからこそ、パパ活のことを蒼真に打ち明けることができなかった。そのせいで椿は、蒼真といるたびに罪悪感が募り続ける。幸せを感じるたび、パパ活をしていた自分が汚く思えてしまうようになった。そして椿はついにはそれに耐えきれず、蒼真と別れ、和也とも連絡を切り、一人で生きていく決意をした。

『私がわたしを売る理由』の登場人物・キャラクター

椿(つばき)

真面目で流されやすい性格。両親のように貧しい生活をしたくない一心で、都内のいい大学に入学したが、生活の為に毎日バイト漬けで、周りの同級生のようにおしゃれなどできずにいた。
そんな中、緊急事態宣言が発令され、バイトでは生活費が賄えなくなり、パパ活アプリに手を出してしまう。慣れないパパ活に精神を削られるも、短時間で高額が手に入るパパ活から、気付けば抜け出せなくなっていた。
お金に余裕ができて見た目に気を使えるようになり、大学でも友達が増えたある日、パパ活相手の和也から、ノートパソコンを買ってもらう。そこで提示した学生証を見られてしまい、和也にストーカーされることに。
ついには家の前に和也が現れ、家に帰れず困っていたところ、大学友達の蒼真に助けられ、恋人になる。
しかし、蒼真にパパ活のことが言い出せず、罪悪感が募っていってしまう。さらに、実父と再会し、父の腰の治療のためにとお金を渡すことになってしまった。

蒼真(そうま)

椿の同級生。さわやかで、人当たりの良い性格。密かに想いを寄せる同級生もいるほどの人気者で、マンションに一人暮らし。
以前から椿を可愛いと感じていたが、ストーカー被害に遭う椿を自宅に匿い、告白して恋人になった。恋人である椿が突然家を出ていった際には、様子が変だと気付いて、すぐに椿の元へ駆け付ける。椿がパパ活をしていることは知らず、バイト先の人にストーカーされていると伝えられていた。

礼(れい)

蒼真の友達。自信家で、真っ直ぐな性格。おしゃれに目が無く、常に自分を磨いている。最初は、自分とは趣味の合わないと思っていた椿を毛嫌いしていたが、椿からおしゃれに関して相談を受け、次第に仲良くなっていく。
面倒見が良く、元々素材がいいと思っていた椿を、可愛く変身させたり、メイクについて教えたりしていた。大変身した椿を、妹のように可愛がる。

和也(かずや)

椿のパパ活相手。無口で、執着が強い性格の中年男性。椿と会うときは、なかなか笑ったり、会話が続くことがないが、メールでは絵文字を使ったり、長文を送ったりする。
パパ活相手である椿を異常に気に入り、ノートパソコンを買った際に学生証を見て、大学や家までストーカーする。椿がパパ活を終わらせようとすると、「ノートパソコンのお金を返すまで会って」という条件をつけて執着した。
普段は無口だが、感情で動く習性があり、椿を言葉で責めたり、椿の家の前に監視カメラをつけたりしていた。

『私がわたしを売る理由』の用語

パパ活

別名、P活とも呼ばれる。20~30歳の若い女性が、男性と食事やデート、体の関係をもつことによって、見返りにお金をもらう行為のこと。2014年からSNSで語呂が流行し始め、徐々に知名度が上がっていった。内容によって金額は違うが、週数回のデートで5万などが相場であるとされる。

緊急事態宣言

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