潔く柔く(漫画・映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『潔く柔く(きよくやわく)』とは、いくえみ綾による漫画、およびそれを原作とした実写映画作品。瀬戸カンナ、赤沢禄を中心に、森由麻、沢内瑞希、永友亜衣、笹塚一恵、千家百加、安養寺音々、川口朝美の複数の主人公たちによる恋愛模様をオムニバス形式で描く。各エピソードはそれぞれどこかでつながっており、複数のエピソードに登場する人物も多い。連載終了後に番外編『潔く柔く 切切と』が掲載された。2009年の第33回講談社漫画賞少女部門を受賞。2013年に新城毅彦によって実写映画化された。

『ミラクルミルキー!』

禄が以前担当していた漫画家・野原チカコが描いている漫画作品。
古屋寿の姉の娘がファンで、百加を通してサインを頼まれる。
小峰清正も愛読している。

『潔く柔く』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

森由麻「もう少しいっしょにいて下さい」

クラスメイトの諏訪仁志とつきあいつつも、生物教師の梶間洋希に惹かれていく森由麻。
初めて梶間と帰り道が一緒になった由麻は、先に電車に乗り込もうとする梶間を引きとめるため、母から渡されていた痴漢防止用のブザーを鳴らす。
「もう少しいっしょにいて下さい」と告げる由麻に、「使い方間違ってます」と梶間が答える。
流されるまま諏訪とつきあっていた由麻が、はじめて素直な自分の気持ちに気づくシーン。

瀬戸カンナ「ごめんね〜…ハルタ〜…ごめんね〜…」

幼馴染の春田一恵を交通事故で失った瀬戸カンナは、クラスの中で孤立しつつも気丈にふるまっていたが、川口朝美と衝突したのをきっかけに貧血で倒れてしまう。
保健室で真山稔邦、アサミを前にして、はじめてハルタへの想いを吐露し「ごめんね〜…ハルタ〜…ごめんね〜…」と泣くカンナ。
その姿にマヤ、アサミも涙を流す。
アサミはハルタにフラれていたことを2人につげ、ハルタがカンナのことを好きだったことを示唆する。
ハルタが死んでからギクシャクしていた3人はそれぞれの気持ちにはじめて向き合い、カンナは「もっと早く 気づいていたら 何かは変わってたんだろうか」と思いを巡らせる。

梶間洋希「そいつに 俺とあんたのことがどれだけわかるっていうんだ!」

東京への進学とともに、つきあっていた梶間洋希と自然消滅した沢内瑞希。
6年ぶりに地元に戻った瑞希は、高校時代のクラスメイトだった湯川から合コンに誘われる。
その席で出会った男に梶間との昔話をする瑞希に、駆けつけた梶間が「そいつに 俺とあんたのことがどれだけわかるっていうんだ!」とはじめて本音をぶつける。
「冷血人間」「ノーメン」と呼ばれ、瑞希からは「仮面被ってる」と形容されるクールなキャラの梶間が素直な心情を吐露する作中で唯一の場面。
「遠く離れて…行けるか?」「実際 未来どころか何もわからないのに」「行くには!…プロポーズするくらいの覚悟がいったんだよ」「わかるかよ!?」と続き、その様子に瑞希は「仮面 剥がれた」「6年 かかった」と思う。
6年間の空白を埋めた2人が、再び一緒に歩き出すきっかけとなるシーン。

永友亜衣「左手 一本分でいいの 今はまだ」

大学の同級生である真山稔邦に惹かれる永友亜衣は、真山と瀬戸カンナ、春田一恵の過去について知る。
真山が家に来るという夜、待ちくたびれて眠ってしまった亜衣は、真山が事故に遭い、カンナが泣き叫ぶという夢を見る。
電話の着信音で起こされた亜衣は、真山が本当に事故に遭ったと聞き、急いで病院にかけつける。
真山は軽傷だったが、動揺した亜衣は泣きながら夢のことを告げる。
それを聞きながら、真山は怪我をしていない左手だけで亜衣を抱きしめる。
ハルタが死んでから心を閉ざしていた真山が、ようやく心を開き始めた。その姿に亜衣は「左手 一本分だけでいいの 今はまだ」と思うのだった。

笹塚一恵「うらやましかった あの人がずっと」

幼馴染のハルタを亡くしてから前に進めない瀬戸カンナは、発作的にハルタとの思い出の品をすべて燃やしてしまう。
しかしまたハルタのものがほしくなり、ハルタのいとこである「キヨ」こと小峰清正に電話をかけてくる。
これをきっかけにキヨと笹塚一恵は久しぶりにカンナと再会する。
中学時代にハルタのことが好きだった一恵は、カンナを見送った後、カンナのことを想い、そして「うらやましかった あの人がずっと」と過去の自分に想いを馳せて泣く。
そんな一恵をキヨは優しく抱きしめるのだった。

柿之内愛実「禄ちゃんは禄ちゃんの道を行って」

赤沢禄は、小学生の頃に一緒に事故にあって亡くなった柿之内希実の姉・愛実と交流を深めていく。
希実の死後に柿之内家の太陽だったという犬のロクが死んだ後、愛実と禄は夜の小学校へ出かける。
これまで両親の愛を感じられずに育ってきた愛実は「あたしはこれからあの家で希実とロクの代わりをするよ」話す。
「代わりなんてねーよ あんたあんまり頑張るなよ」と返す禄に、愛実は「禄ちゃんは禄ちゃんの道を行って」と告げる。
その様子を見て、これまで2人を見守ってきた希実の魂は、ロクと一緒に成仏していった。

瀬戸カンナ「言えたじゃない… バイバイ百加」

瀬戸カンナに夢中な中西文也のことが好きな千家百加。中西に対してはっきり断るようカンナに促すが「自分は何も言わないであたしにだけ言わせようって 百加ずるくない?」とカンナに言われて激昂してしまう。
はじめて自分の気持ちを素直にぶつける百加に、カンナは「言えたじゃない… バイバイ百加」と微笑み、去っていく。
ハルタが死んでから周りに壁を作ってきたカンナだが、相手と本音で接していないのは百加もまた同じなのだった。
これをきっかけに疎遠になる2人だが、その後次第に本音をぶつけ合うようになり、本当の友だちになっていく。

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