おためが@ryusuke_a

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おためが

おためがのレビュー・評価・感想

MOTHER マザー(映画)
9

見ていて辛くなるシーンもあるけど、母と子の関係を考えさせられる映画です。

主人公の周平と母親の関係が見ていてとても辛いです。母親は自分勝手に生きていて、男に依存し生活してるため仕事もしていないし、家事もしません。そのため、周平は学校にも行けず友達もいないので、ずっとひとりぼっちで過ごしていてとても辛いです。生活費が無くなると、母親の命令で祖父母や叔母、離婚して養育費の支払いを毎月している父親に周平が1人で嘘をつきお金を借りに行くシーンがあります。何度も借りに来る周平に、怒鳴り苛立ちをぶつける大人達ですか、生活費がないのは働かない母親のせいです。なのに周平が代わりに、激しく怒鳴られなじられてしまいます。結局お金を借りられず、母親にも怒鳴りつけられ、板挟みになるとても辛いシーンです。母親の彼氏もまともな大人ではないため、生活はどんどん荒れていきます。ホテルに住んだり、窃盗したり、あてのない暮らしは長く続きません。ついには、ホームレスのような生活を強いられるになります。ここで福祉の手が差し伸べられ、周平はついに学校に通えるようになりますが、また男の介入により壊されていきます。初めて、学校に行きたい!と抵抗する周平ですが、母親によりその抵抗は無駄に終わってしまうのです。この時、意を決して自分の意見を初めて言った周平に対して、母親なのになんて酷いことを言うのかと誰もが思うでしょう。ほんとに酷いことを言います。この映画は、過去にあった実際の事件を元に作られた作品のため、すごく辛い日常がたくさんあります。最後に事件を起こすのも、母親による命令です。自分の手は汚さずに、手を汚すのはいつも周平です。でも、周平はそんな母親でも愛していて、映画の最後のセリフが、とても切なく悲しく深いなと感じます。母親と子供の関係を考えさせられるとても、深い映画です。

きみが死んだあとで
8

戦後日本学生運動の端緒となる事件の渦中で落命した若者の事後談を語りで掬い取った『きみが死んだあとで』

1967年10月8日。佐藤栄作内閣総理大臣(当時)の南ベトナム訪問阻止を図った「三派全学連」を主体とする第一次羽田闘争は、その後過激化する学生運動の端緒となる事件でした。はじめてヘルメットやゲバ棒で武装した学生は羽田空港に通ずる弁天橋で機動隊と激突。そのなかで1人の若者が殺されました。山崎博昭、18歳。機動隊に頭部を乱打されたためか、装甲車に轢かれたためか、死因は諸説あるが、彼の死は同世代の若者に大きな衝撃を与えたことは疑いありません。
あれから約半世紀。死亡した山崎博昭の高校の同級生たちや当時の運動の中心だった者たちは齢を重ね、山崎だけが18歳のままです。生き残った総勢14人が語り継ぐのは美しく輝く青春とその後の悔恨。闘争の勢いとその衰退も振り返りながら、さまざまな記憶と感情が交錯します。青春だけが武器だった、あの「異常に発熱した時代」は何だったのか。「きみの死」はまだ終わっていない。半世紀を経てもなお、その宿題は続いているのです。
3時間20分の大長編にまとめきった代島治彦監督は、『三里塚に生きる』『三里塚のイカロス』に続いて「異常に発熱した時代」に3度組み合いました。インタビュー中心のストイックな構成は、“歴史と記憶のはざま”を浮き彫りにし、ナラティブ(語り)によって織り上げられたタペストリーのようだ。音楽・大友良英が作曲したフリージャズをベースにしたアナーキーな主題曲が重なり、時代の狂気と美しい記憶が混然一体となって押し寄せてきます。代島も大友も学生運動が熱を失った後の「しらけ世代」。権力と闘い、革命を叫んだ「全共闘世代」への愛憎を忍ばせながら、 彼らの歴史的功罪を問う重厚なドキュメンタリーが誕生しました。

オーシャンズ11 / Ocean's Eleven
9

「オーシャンズ11」レビュー

この映画は、2001年に公開された、ジョージ・クルーニー主演のハリウッド映画です。ジャンルはサスペンス・コメディになります。あらすじは、主人公のダニー・オーシャンが、詐欺、スリ、爆破等、各分野のスペシャリスト11人を率いて、ラスベガスで1番有名なカジノの金庫破りをするという内容です。この映画はなんといってもキャストが豪華です。ジョージ・クルーニーの他にブラッド・ピット、マット・デイモン、ジュリア・ロバーツ等、主演級の俳優陣が一同に会し、絶妙な掛け合いをしています。11人の仲間がいますが、それぞれが特殊なスキルを持ち、また性格も様々です。その仲間をオーシャンが上手くまとめ上げ、時には仲間を騙しながらもテンポよく続くストーリーは、文字通り目を離すことができません。スタイルとしては頭脳戦で、敵の方が1枚上手で万事休すかと思いきや、オーシャンズがその上を行く展開がとても気持ちがいいです。またBGMも秀逸です。デヴィッド・ホルムズ作曲のBGM1つ1つがそのシーンにマッチしており、ストーリーを引き立てています。このオーシャンズはシリーズ化されており、2作目の12、3作目の13に加え、ダニー・オーシャンの妹を主人公にしたオーシャンズ8も公開されています。ぜひ1度ご覧ください!

スピッツ / Spitz
10

見っけ

通算16作目となるオリジナルアルバムで、前作から3年ぶりとなる。NHK朝ドラの主題歌で2019年のロッキンジャパンフェスでのライブ披露も記憶に新しい「優しいあの子」(42ndシングル)を収録。3曲目の「ありがとさん」など、死生観を描いた草野マサムネの詩の世界は健在。草野のボーカルとそれを包む力強いバンドサウンドが心地よい。スピッツの魅力のひとつは、ベースの田村明浩とドラムの崎山龍男の強力なリズムセクションと筆者は考えているが、特に崎山のアフタービートなノリがスピッツサウンドに独特なグルーヴ感を与えている。「優しいあの子」にもそれがうかがえる。そして、今や5人目のスピッツとも称されるサポートキーボードの「クージー」ことクジヒロコのサウンド面の貢献も計り知れない。筆者は恥ずかしながら昨年のロッキンジャパンフェスで初めてスピッツの生演奏を聴いたが、特にライブにおいてスピッツサウンドを再現するために彼女の存在がいかに大きいかを思い知った。結成30周年を経て、ますます円熟味を増した彼らの変わらない部分、そして進化をこの先どのように我々に示してくれるのか、今後のスピッツがますます楽しみでならない。

最高の人生の見つけ方 / The Bucket List
8

二人の人間の人生の最終章

自分が死ぬということに明確な期限を見出してしまったという共通点以外、全く種類の違う道を歩んできた二人の人間が、人生という一つの物語の最終章をより良いものにすべく旅に出る話。
生を受けてから今まで誰しもが抱えている後悔というものに、怯えて苦しみながら向き合っていく登場人物からは共感と教訓を得られる。主人公の一人が相棒から学んだことは人生において大切なものになったが、それは主人公がたまたま相棒と仲良くなったから得られたものではなく、目を逸らしていただけでずっと自分の中にくすぶり続けていたものだ。
このことは映画を見た私の痛いところを突いた。自分が「仕方のないこと」「どうせ変わりっこない」と諦めて、しかしいつも頭の片隅にあるモヤモヤの正体を暴かれたようだった。
作品の中で、主人公は相棒から様々な宗教の考え方を聞かされる。宗教等といったことに抵抗がある人もいるだろうが、この作品を単なる宗教映画とみなしてしまうのは、私はとても勿体なく思う。
説教臭く感じてしまう人もいるかもしれない。後悔しているということは、過去の自分が成しえなかったことだからだ。向き合うことは、痛いし辛い、そして勇気がいる。自分が後悔していることに向き合いたいと感じている人には、見てほしい作品だ。