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romanesco687のレビュー・評価・感想

キングダム(映画) / Kingdom (2019 film)
9

中国の戦国時代を描いた漫画を実写化した壮大な歴史エンタテインメント映画。キャスト陣の原作に忠実な役作りにも注目。

映画キングダムは、原泰久による漫画「キングダム」を実写化した歴史エンターテインメント作品である。
監督は佐藤信介だ。
物語の舞台は古代中国の春秋戦国時代末期、戦国七雄(秦、楚、斉、燕、趙、魏、韓)が織りなす戦いを描いている。
この作品に出演しているキャストがまた豪華なのだ。主役を務めるのは、数々のドラマや映画の主役経験がある山﨑賢人である。
山崎が演じるのは、天下統一を果たした始皇帝を支えたとされる将軍李信だ。
戦災孤児となったものの大将軍になることを夢見て剣術を磨き、のちの始皇帝が王座を奪還するために尽力する将軍になるまでを描いている。
それから信の幼馴染で親友の漂と、漂とうり二つで信と共に王座奪還を目指すのちの始皇帝えい政の二役を吉沢亮が演じた。
顔はうり二つであるが、全く違う人物像を上手く演じ分けたと高い評価を得た。
そして最も注目してほしいのが、再現度の高さが話題になった長澤まさみ、大沢たかおである。
長澤は山の民の王である楊端和を演じた。山の民をまとめる長であり、馬をも乗りこなす強く美しいキャラクターだ。
原作の再現度が高くはまり役だと評価が高い。
そして、筋肉ムキムキで独特の話し方、笑い方で癖の強いキャラクターである王騎を演じたのは大沢たかおである。
原作の読者の中でも人気が高く、誰が演じるのか注目されていたが、その大役を見事にこなした。
体重を増やし見た目も王騎に近付ける努力をするなどして高評価を得て話題になった。
さらに主題歌の「Wasted Night」はONE OK ROCKが手掛けた。
有名どころの俳優たちを多く起用しているため原作を読んでいない人にも楽しめる内容になっている。

2度目の二十歳
10

すごく考えさせられた

「チェ・ジウ」さんが好きで、彼女の昔の作品を見ている中で、この作品に出会いました。
彼女は当時39歳。変わらぬ美貌に、正直びっくりしました。
物語は、夢を捨てて結婚をし、専業主婦になった女性が、大学に通いたいという夢から大学受験を経て、ついに大学進学を果たすというお話です。
夫とは家庭内崩壊をしており、離婚を予定。しかも夫は不倫をしている…。
偶然にも、自分の息子が同じ学校に通うことになり、さらには夫が転勤で同じ大学に勤務。
主人公は家族に黙って進学することになります。
進学した先に、高校時代の同級生と再会するも、ひどい態度を取られます。
彼女はオバサンということから、周囲の学生にも毛嫌いされます。
しかし、彼女が学生ライフを送っていく中で、現代の教育の在り方や風潮に間接的に疑問を問いかけるような物語の描き方がされおり、「何のために大学に通うのか?」、「就職のためのか?もっと他にあるんじゃないか?」、「最後の学生生活を就職のための冷たい期間で終わらせるのはどうなのか?」、「学生らしく楽しく生活するのも、大学生として過ごす一つの方法でもいいんじゃないか?」などと感じました。
彼女が大学生活を送っていくうえで、徐々に周りにも変化が生じます。
最終的には同級生との再会からの恋が実る点にキュンキュンもさせられましたが、主人公がまっすぐ強く生きていく様がとてもかっこいいと思ったし、いろいろなことを考えさせられるドラマでした。

童貞文豪
5

駒誠のモノローグとナレーションがツボの「童貞文豪」

人によってはタイトルがパワーワードに思えてしまう「童貞文豪」はウェブコミック配信サイト「GANMA!」で2018年8月15日から毎週水曜日に更新されているマンガ作品です。自社に属するグループに出版社がなく、掲載作品の単行本を出すことが比較的少ないGANMA!としては珍しく、29話まで連載された時点の2019年3月5日にKADOKAWAで単行本1巻が刊行されました。ジャンル的には日常系・ギャグ系に分類されている作品で、大正時代の架空の男性小説家と周辺人物たちの日常を描いる割に、ノリが海外コメディドラマっぽいマンガです。

主人公の駒形誠士郎(各話タイトルでの通称は駒誠)は女にモテるために小説家の安宅川に弟子入りし、自分をモデルにしながらも徹底的に美化して執筆した処女作「暁光」がヒットして25歳でベストセラー作家となったものの、日頃から理想の自分を妄想しながら小説を書いているが故の大言壮語な言動や運の悪さもあって、世間の印象に反して彼女がおらず、世間や周辺の印象を気にして童貞を隠している、こと男女関係に関しては意識高い系である小説家です。

本作は駒誠が女性と関わるも結局男女関係にはならない話か、駒誠と好青年の書生・小太郎や兄弟子で特殊趣味の傾向がある潤平、同世代の童貞小説家・白峰などとの日常コメディの2パターンとなっています。

この作品のツボは駒形誠士郎の「おっぱいが書けない!」「童貞なめるなよ、この童貞め」といった迷言モノローグもさることながら、自然主義文学作家を「現代版ユー○ューバー」、駒誠の掲げる理想主義文学を「転生系無双系ラノベ」と表現してしまう作中のナレーションと言っていいかも知れません。また、リアリティーがあって生々しい下ネタ発言しているのにエグさや嫌な感じがないという主旨のGANMA!での読者コメントが出てくる作風も本作の良さと言っていいでしょう。

虚構推理
8

「真」を求めない推理と解決

このお話の主人公は、一人の少女と一人の青年です。

岩永琴子……化け物に誘拐され、片目と片足を代償に、彼らの”知恵の神”となる。
桜川九郎……幼少期に特異体質となり、化け物から恐れられる存在になる

この二人が、巷で起こる”怪異”に挑みます。

■お話の特徴
タイトルに「推理」とある通り、この話はミステリです。
主人公の少女、琴子が持ち前の推理力を発揮して、”怪異”を解決します。
ただし、超常現象も起こるため、一般にイメージされるミステリーとは、少し異なるかもしれません。

特徴はそれだけではありません。

何とこのお話、「真実」が必ずしも「解決」ではないんです!!
それは琴子の言葉にも、表れています↓

「私の説明は辻褄が合ってますし、合理性もあります。でも、犯人が合理的に、行動するとは限りません」
(1シーズン 3話より)

彼女にとっての「解決」とは、依頼者や関係者が納得することであったり、事件が収束すること。
だから真実でなくとも皆が頷く、「合理的な解釈の提示」。これが解決を意味します。
彼女の推理は、皆が納得する虚構を作り出すこと。正に「虚構推理」です。

■最後に
ミステリー好きには、「謎解きが好き」という方も多いでしょう。本作はそういったミステリーファンを裏切りません。
琴子の推理の過程、その合理性は、論理的な謎解きを好む方々を、唸らせるでしょう。
また登場人物たちが織りなす人間ドラマ、物語の展開も面白く、ミステリーファン以外の方にもおすすめです。

アニメ二期も決定したようなので、ぜひ今のうちにチェックしてみてください^^

米津玄師 / Kenshi Yonezu / ハチ
9

米津玄師の紡ぐ言葉

彼にしか紡げない言葉たちに、どれだけの人が救われてきたのだろうか。
2018年に発表された『Lemon』。
当時私は大切な人を亡くし、大きすぎる悲しみに押しつぶされそうになっていた。その折に、
偶然ラジオから流れてきたのが『Lemon』だった。
歌い出しを聴いた瞬間、「これはレクイエムだ」と感じた。
もちろん他の解釈を否定するのではない。
しかし、突き刺さるようでどこか虚ろな歌声に乗せられて届く言葉は、当時の私の心を慰めるには十分だった。
彼の作品には、いつもどこか虚しさが漂う。
例えば2014年発表のアルバム『YANKEE』に収録されている『WOODEN DOLL』では、明るい曲調と裏腹に、自分のことが嫌いなあまり愛してくれる人すら拒絶してしまうという「あなた」が登場する。
2017年発表のアルバム『BOOTLEG』収録の『Moonlight』は、暗い部屋にひとりでいるようなメロディに乗せて、「本物なんて一つもない」と歌う。
どんなに明るく振る舞っていても、人知れず落ち込むこともあるだろう。
そんな悲しみややるせ無さにそっと寄り添ってくれる。
彼の紡ぐ言葉にはそんな力がある。
きっとこれからも多くの人の心を救っていくのだろう。

彼方のアストラ / Astra Lost in Space
9

スケットダンスの作者が書いた異色のSF漫画

簡単なあらすじ
西暦2063年惑星キャンプで無作為に集められた9人のメンバー(ほぼ中高生)が惑星マクパに到着するなり謎のブラックホールのようなものに吸い込まれて遭難。様々な苦難を乗り越えたり仲間同士の絆を描きながら、いくつかの未開惑星を旅しながら帰還を目指す。
ブラックホールは自然にできたものなのか?人為的なものなのか?この9人であることに意味があったのか?多くの伏線がある物語。

ジャンプ掲載されていたスケットダンスの作者によるSF漫画で、SF要素(ガンダム的機械やバトル)自体はあまりなくて多くの人にとって読みやすい漫画です。
すでに完結していて全5巻と短めの漫画ながら中身はずっしりとしています。ダラダラと進むことなく1話に多くのアイデアが散らばめられていて、一気に全巻読みたくなるような衝動に駆られます。
訪れる惑星はすべて未開惑星なので次に旅する惑星がどんなところなのか?どんな生き物なのか?生態系は?等の想像しながら読み進めることができますが大抵はいい意味で期待が裏切られます。
伏線を回収するために若干無理やり感があるところもあるのですが、こんなストーリーを考え付くだけ十分凄いし楽しめます。
舞台や漫画表札がたまたまSFなだけであって中身はヒューマンストーリーとサスペンスの要素があり、ラスト5巻にはそういうことか!!!と興奮するような種明かしがあります。
あまり知名度が無い作品ですが多くの人に楽しめる作品かと思います。