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nu_twoのレビュー・評価・感想

フェイブルマンズ
7

スティーヴン・スピルバーグの自伝的映画

スティーヴン・スピルバーグの自伝的な映画。

幼い頃に両親と見た映画に胸を打たれたサミーは、父親にフィルムカメラを買ってもらう。
そのカメラを用いて、妹2人と一緒に毎日映画撮影をして遊んでいた。そしてサミーは自然と映画監督を志すようになる。
しかし、父の親友ベニーと家族みんなでキャンプ旅行をした時の映画を編集していたところ、母とベニーの浮気現場を発見してしまう。
サミーは母に打ち明け、このことは誰にも言わないことを母に約束する。
この映像を母に見せた時から、主人公はカメラを触らなくなってしまう。

父の転勤に伴い、家族はベニーと離れることになるが、引っ越し先でサミーはいじめに遭う。
そんな中でもサミーには恋人が出来、無事に高校の卒業式を迎える。
卒業式では、恋人に勧められてサミーが作成した、卒業生達の映像が流された。
恋人と別れることにはなったが、主人公はこの映像を作ったことで、映画監督になるという夢を再び志す。

サミーの心情と環境にフォーカスを当てた、とても面白い作品だった。
サミーの父親と母親は対極的な人物として描かれ、母が「芸術家」、父が「科学者」と表現されていた。
主人公は母に似ており、母の秘密を抱えながらも母に寄り添う姿が、とても献身的に見えたのだ。
サミーは幼い頃から映画を撮っており、映画を撮ることが当たり前のようだったが、中でも映画の力を感じた場面が2つ登場した。
1つ目は友達がいた頃に撮った戦争映画の撮影シーン。
主人公役を務める友達に演技指導をした後に撮ったシーンは、サミーも友達もその撮影にのめり込み、シーンが終了しても周囲の声が聞こえていないようだった。
2つ目は卒業生たちの映像を撮影し流し終えた後に、自分をいじめていた生徒とした会話。
卒業生たちを映した映像は、いじめっ子が英雄のように映し出されており、観客もそのように見て、映像が流れ終わったら皆がいじめっ子を褒めたのだ。いじめっ子はそれが我慢ならず、サミーに詰め寄る。
「俺の足が速いのは俺が努力しているからだ。映像の中の俺は嘘っぱちだったが、黄金に輝いているようにも見えた。あれはいじめへの当てつけだろう?」と言って怒り、泣いていた。

上の2つのシーンは、主人公が映画監督になるという決意を、より強いものにしたように思えた。
主人公としてはそんなつもりはなくても、見る人に大きな影響を与え、役者にも自分にも強い没入を与える映画は、主人公が思っている以上にとても魅力があるものだと、この2つの経験から思ったのでは無いか。
また、サミーの映画監督の資質もよく現わしているシーンであるように感じた。

家族愛や人の人生の妙を感じる映画だった。