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ms0828

ms0828のレビュー・評価・感想

夜明けまでバス停で
9

実際の事件をモチーフにした、決して他人事ではない問題作。

居酒屋のバイトで生計を立てていた三知子だが、新型コロナウィルスの上陸によって経営が傾き始め、三知子を含む3人のバイトが時短を余儀なくされた上に解雇されてしまう。
住み込みの介護施設の職を見つけ三知子はアパートを引き払い、採用当日にキャリーバッグを持って施設に向かうが、勝手な都合で雇い止めを宣告されてしまう。帰る家の無くなった三知子は、この瞬間からホームレス生活を余儀なくされる。

各方面に経営難等の悪影響が出ている新型コロナウィルス禍では、このクビからホームレスへの呆気ない転落ぶりは決して他人事とは思えない、嫌なあるある感を想像してしまう。
板谷由夏の徐々に荒廃して行く巧みな演技に、ますます親近感を覚えた。
しかし、新型コロナ禍以前から不景気は続いており、生活苦だった事も忘れてはいけない。「日本なら稼げる」とフィリピンからやって来たのに、今では居酒屋の残り物をこっそり持って行く事でしか食べていけないバイトの女性(ルビー・モレノ)の姿にも、転落の象徴を読み取れてしまう。。

昼は公園・夜は最終便が出た後のバス停のベンチで寝泊まりする、ホームレスの三知子。その周辺には、三知子の命を狙う男や傲慢セクハラ経営者の下で疲れ果てた居酒屋の女性社員、ベテランのホームレス等が近づいて来る。これも全て、新型コロナ禍が産み出した弱者の象徴とも読み取れる。

さほど大袈裟とも思えない人物描写の的確さが作品の厚みを増しており、真っ当な政治批判になっている。
救い様の無いストーリーだが、新型コロナ禍における社会的弱者の声を全面に押し出して見せた高橋伴明監督の手腕は鮮やかである。

レ・ミゼラブル / レミゼ / Les Misérables
10

時代の波に翻弄されたフランス市民を描く歴史超大作

19世紀初頭、1人の男が司教館を訪れる。男の名は「ジャン・バルジャン」
家族の為に、パンを一本盗み、その罪で長い間服役していた男だ。様々な人に虐げられていた彼だが、司教の人としての暖かさに初めて触れ、改心しようと考える。
時は経ち、ジャン・バルジャンは「マドレーヌ」という名前で身分を偽り、市長として街をおさめていた。そんな中、仕事を解雇され路頭に迷っていたファンティーヌから娘コゼットを託される。コゼットとの生活の中で、この娘を守ることを人生の生きがいにしようとしていた矢先、フランス革命の波が彼らを襲うことになる。
革命の主導者の名前は「マリウス」 若く、情熱に溢れる青年だ。恋など無縁で、フランスの為に己の身を尽くそうと考えていた彼の前に偶然、バルジャンに手を引かれたコゼットが現れる。一目でお互い恋に落ち、マリウスの幼馴染「エポニーヌ」の力も借りながら、ついに二人はお互いの気持ちを伝えあい結ばれる。
「恋か革命か」 マリウスの心は揺れ動くことになるが仲間の姿を見て、革命を選ぶことになる。しかし、さらに革命は激化。国王軍がすぐ近くまで迫っていた。バルジャンは「コゼットを守りたい気持ち」と「マリウスの革命を後押ししたい気持ち」が複雑に交錯する。そしてついに、マリウスら学生と国王軍が激突するのだった…。

臨場
7

推理要素が少ない。

倉石の恩師の法医学者が出てきたりして、倉石の過去がわかったりしておもしろかったです。でも、臨場の醍醐味である倉石だけが気がつく死者の声は少なめだったかなって気がします。衣服が濡れていたら、私でもなんか冷やしたりとかで死亡推定日時をどうにかしようと思ったのかなとか思います。あと、資料に改竄があったらそりゃあダメじゃんって気もしますが、冷蔵庫の中身まで調べて、それに気がつくとかさすが倉石さんです。
今回はいつものメンバー以外にもたくさんいいキャラが出てきていて、演じている役者さんもすごいからおもしろかったです。平田満さん演じる警察官もすごく哀愁がありましたし、段田安則さんとかほんとなんでこんなに怖いんだろうと思います。若手も柄本佑さんですから、その演技力は折り紙つきです。
扱われた事件はどちらも遺族はやり切れないだろうなっていうものでした。実際にはなかなか無罪にはならない気がしますが、もしなっちゃったらつらいです。あの母親の気持ちが痛いほどわかります。映画らしく、派手な話で、最後もやめてよって展開がありました。もう少し、推理ものとしておもしろいところがあってもいいかなとも思いますが、臨場ファンとして満足のいく作品でした。

バイオハザード4 / Biohazard 4 / Resident Evil 4
9

適度なアクション性向上

サバイバルホラーの有名タイトル、バイオハザードシリーズのナンバリングタイトル、『バイオハザード4』のご紹介です。
プレイヤーは米国エージェントのレオンを操作し誘拐された大統領の娘を捜索するために向かったヨーロッパの片田舎で、謎の教団や寄生生物と戦い脱出するまでを描くゲームです。
まずお伝えしたいのがシステム面がアクション重視に変更され過去作(1~3)では固定カメラアングルでのラジコン操作だったのが、主人公の背面からのビハインドカメラで操作するシステムになったことです。
これにより移動がスムーズになりアクション性が向上、操作しにくいというストレスも軽減されています。
射撃もシステムの変更によりそれまでは、ほぼ出来なかった弱点を狙い撃つ事が出来るようになりました。
敵により武器を変えたり狙う部位を変えたりとプレイヤーによって自由度の高い戦闘が出来るようになりました。これが非常に大きいと思います。
以上の操作に関するシステムの変更、体術等の組み合わせによりゲームを進めていくうちにプレイヤーは「スタイリッシュなアクションを軽口叩きながらこなす凄腕エージェント、レオン」と一心同体になったような感じになれます。
いや、もはや一心同体です。難易度調節もあり初心者にもやさしいです。
ゲームとして僅かに不満な点もありますが(QTE等)それを補って余りある良作です。

チェンソーマン / Chainsaw Man
10

お決まりの「お約束」がないストーリー

本作は、人間の内なる恐怖が具現化した「悪魔」と、それらに対峙する「デビルハンター」を描いたストーリーである。当初、デビルハンター側は「銃の悪魔」を倒すことを目標とし、戦闘を繰り広げていく。主人公であり、悪魔を心臓に宿すことで悪魔人間となったデンジもその目標に向かう1人。とはいっても、デンジは上司であるマキマとやましいことをすることが真の目的であったりする。ここら辺はすごくジャンプあるあるの男性主人公という感じ。
本作が他作品と大きく異なる点は、ご都合主義的な展開が見当たらない点である。例えば、「主人公の親友はどんなにピンチな局面でも絶対に死なない」という信頼感であったり、「突如でできた敵キャラは、ある程度見せ場を作るまで殺されない」という謎の安心感、などはこの作品にはまるでない。親友であっても、いい感じの上司であっても、「これからちょこちょこでてくるんだろうな〜」というキャラであっても、この作品ではポンポンと退場させられてしまう。
しかし、どの登場人物の死にも、必ず物語の流れがあり、意味のない死を遂げる者も、またいないのである。
話のテンポが早く、なおかつ今までのお約束の展開がことごとくない本作は、読者を飽きさせることがない。
また、人間の恐怖が具現化した悪魔たちは、私たちに確実に迫り来る恐怖を与える。どれもシンプルなイラストながらも、その画力も、魅力の一つと言えるだろう。

原神 / Genshin Impact
9

高グラフィックかつ多彩なアクションによるRPG

中国発miHoYoが開発元になっている「Genshin(原神)」。2020年の夏に初めてリリースされ、その反響は前作「崩壊3rd」の人気を受けているからか非常に高いものとなった。主人公であるキャラクターが中世西洋と古代中国の世界観を足し合わせたような舞台で、様々な敵と戦いつつ世界の謎を紐解いていくというストーリー。ゲーム内ではキャラクターが多数登場するが、そのキャラクターを自身で入手し操作できることが魅力である。
操作可能なキャラクターの数は10人以上おり、ストーリーを進めるかガチャにより入手するかなどで増やしていける。舞台はオープンワールドとなっており、広い世界を華やかなキャラクターが駆け巡る。グラフィックが非常に美麗で前作「崩壊3rd」を凌駕する出来栄えとなっている。また、アップデートなどにより新キャラクターの追加やマルチプレイの追加なども行われており、プレイ人口や認知度は今後とも上昇していくと思われる。しかしオープンワールドならではのデメリットも存在しており、移動に要する時間が長くなることが挙げられる。オープンワールドはゲームの世界観に浸かれることが魅力の一つだが、マップを移動する時間、またはファストトラベルなどでロードする時間が逐一生じてしまうために、動作環境が優れた状態でプレイすることが最善と思われる。

キャッツ
8

私は大好き!

映画公開時は賛否両論があり、見る勇気が出なかった映画版キャッツ。
普段からミュージカルや舞台、ファンタジーが好きな私にとっては、とても良かった!
確かにストーリー性を問われると、普段ミュージカルに免疫のない人にとっては退屈なのかもしれない。
また、劇団四季のキャッツが大好きな人にとっても、賛否が分かれるのもよく分かる。
舞台版のキャッツと比べるなら、見てはいけない。まったく別のファンタジー映画だと思う。
今回の映画版のために作られた「ビューティフル・ゴースト」も、とてもきれいな曲だった。
字幕、吹替ともに見たが、どちらも各俳優が素晴らしく猫に合ったキャラクターが出せていたし、歌が素晴らしかった。
特に吹替のメンバーである葵わかなと山崎育三郎は、ミュージカル好きにはたまらなかった(もちろん美女と野獣の吹替に敵うものはないし、山崎育三郎がまた吹替やるの?とも正直思ったが)。
葵わかなの透き通った優しい声が、主人公(と呼んで良いのかは分からないが)のヴィクトリアの雰囲気に良く合っていた。
個人的には、終盤で手品師のミストフェリーズがみんなに応援され頑張るシーンが好きで、何度も見た。
舞台版キャッツにこだわりがなく、突然歌い出すミュージカルに抵抗がなく、猫人間にも違和感を抱かないファンタジー好きの人にはぜひ見てほしい。