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jasmine10

jasmine10のレビュー・評価・感想

暴太郎戦隊ドンブラザーズ
9

いつの間にか子どもよりも大人がハマってしまう戦隊ヒーロー

『暴太郎戦隊ドンブラザーズ』という作品名を初めて目にする方は、「なんだこの戦隊は」と困惑するだろう。
ドンブラザーズのドンブラとはあの聞き馴染みのある「どんぶらこどんぶらこ」という桃が流れてくる時のものである。ドンブラザーズはあの有名な昔話の桃太郎がモチーフ。「桃太郎?なんかダサい」という先入観は捨てて、とりあえず1話(ドンブラザーズではドン1話と表される)を見てほしい。初見では全く意味が分からないまま30分が終わる。この「意味が分からない」がだんだんと「面白い!」に変わるまで、とりあえず我慢して見て欲しい。
大人がハマるポイントとしては、伏線があちらこちらに散りばめられていて、気持ちよく回収されるものもあればそうでないものもあり、考察が非常に楽しめる作品であるという点。
各キャラクターが非常に個性的かつ強烈であるが、みな様々な愛を持っている。その愛がとんでもないことを引き起こすのもドンブラザーズの醍醐味のひとつ。
個人的には戦隊ヒーロー初の男性ピンクであるキジブラザーの愛にご注目。男性がピンクかということなど全く気にならないぐらいに強烈な愛を持つキャラクターだ。
ハマった後には「縁ができたな!!!!!」というセリフが言いたくなるはず。

フライト(映画)
7

どれだけ難しいものか

アルコール依存症や薬物依存症から立ち直ることが、どれだけ難しいのかがリアルに描かれていると思いました。本当にお酒は怖いです。ウィトカーは自分でも公聴会には素面で行かなきゃとかわかっていたと思うのに、それが出来ませんでした。自分と同じく依存症に悩む女性と知り合いになって、そういう支援に繋がりを持てそうになっても、「自分は依存症じゃない」って断ってしまう。本当に自分で認めることが難しい病なんだなって思います。彼がしたことを思うと、許されるべき人ではない気もします。でもあの事故は本当に彼のせいじゃなくて、機体の欠陥のせいで、彼のおかげでたくさんの人が助かったような気もします。ラストはこんな風に許されていいのかって思わなくもないのですが、そういう許しがないと立ち直れない病なのかもしれません。デンゼル・ワシントンのリアルな演技も相まって、親子愛に泣きそうになりました。思っていた話とはちょっと違っていたのですが、すごく深くて、見てよかったと思いました。

勝手にしやがれ(映画)
9

フランス、ヌーベルバーグ映画の巨匠ゴダールが鮮烈に輝いたデビュー作『勝手にしやがれ』

映画『勝手にしやがれ』は1960年のフランス犯罪劇映画で、監督と脚本はジャン-リュックゴダールです。
本作ではジャン-ポール・ベルモンドがさすらいの犯罪者ミシェル役で出演し、ジーン・セバーグがその米国人女友達のパトリシアを演じています。
作品はゴダールにとっての最初の長編劇映画であり、ベルモンドは俳優として開眼しました。
『勝手にしやがれ』はフランスの「ヌーベル・ヴァーグ」映画の最初期の作品の一つで、より多くの影響を後代の映像作家たちに与えました。
フランソワ・トリュフォー、アラン・レネ(『ヒロシマ、わが愛」)などの1年前に公開された作品と並んで、この作品はフランスの映画製作技法に国際的な注目を集めさせるきっかけとなっています。
当時、『勝手にしやがれ』の大胆な視覚的文法(ジャンプカットの非慣習的な用法)も注意を引きました。
フランスで公開されるや、200万人の観客を動員し、かつて製作された映画の中でベストに属する作品と考えられています。
映画製作者や批評家たちはこの作品の斬新性を多くの機会に語っています。
2010年5月、完全に修復されたバージョンの映画が米国で公開されました。
奇しくもそれは映画公開から50周年めの年だったのです。

高橋優
10

今を叫ぶリアルタイムシンガーソングライター

高橋優(タカハシユウ)。私がこのミュージシャンと出会ったのは、大学時代のサークルの後輩からの紹介でした。この後輩のLINEのプロフィール画像が、素敵な笑顔の男性。「この人って誰?」と聞き、初めて「高橋優」の名前を知りました。

初めて教えてもらった曲は「誰もいない台所」。ミュージシャンが歌う歌って、たまにタイトル被りしていることもありますが、このタイトルも見たことも聞いたこともありませんでした。そして、初めて試聴。まさかこの曲を聴いて涙をするとは思っていませんでした。

高橋優は自分の事を「リアルタイムシンガーソングライター」と語っています。そう、今思った事を思ったままに歌う。それが彼の音楽スタイルです。だから、昔の歌が今の歌の雰囲気と違っていることもあります。だって、リアルタイムシンガーソングライターだから、その時代に思ったことを歌うのですから。

私はいつ、どんな時も高橋優の歌に励まされてきました。就職活動時代、全然うまく行かなかった時、友達と喧嘩してしまった時、家族関係が上手くいかず自暴自棄になった時。どんな時でも高橋優は私の側にいました。

そして高橋優の魅力は、前の自分には響かなかった曲も、今になって響いてくる所。もしかしたら、今あなたが聴いている曲は未来には響かないかもしれない、それでも逆も然り。あなたのリアルタイムな気持ちに、是非高橋優の曲を添えて聴いてください。

ミッドナイト・ラン
10

不滅のバディ映画 ミッドナイトランの魅力

デニーロの出演作といえばゴッドファーザー、タクシードライバー、レイジングブル、カジノと数え上げればきりがないです。その中でも僕は1988年制作の「ミッドナイトラン」を推します。
内容としてはデニーロ演じる賞金稼ぎウォルシュが、横領の罪に問われている会計士デュークをロサンゼルスまで連れていくコメディーロードムービーです。それだけだと一瞬で映画の説明が終わりそうですが、実際にはそこにデュークを狙うマフィア、FBI、ウォルシュと同じ賞金稼ぎのマービンが加わり、事態はどんどん複雑になっていきます。魅力としては、個性的なキャラクターでしょう。登場人物誰もがどこか抜けていて、彼らのやり取りには思わず笑いがこみあげてきます。
好きなシーンはやっぱり最後です。すべてが終わり、ロサンゼルスの空港でデュークと別れたウォルシュは、後ろを振り返ります。しかしそこにデュークはいません。見ているこっちもさみしくなります。外に出たウォルシュは、カメラに背を向け夜の街へとかけていく。完璧なエンディングです。完璧な映画です。
見ているときはワクワクして、観終わったあとは「すげえ楽しかった~」って思える映画です。純度100%のエンターテイメントです。映画はこうあるべきだよなってこの映画を観るたびに思います。ぜひご覧あれ~。

乙女男子に恋する乙女
8

男性恐怖症の乙女が出会った、女装が似合う素敵男子

日常的に女装姿で暮らすゆき。
彼はかわいいものやきれいなものが好きで、身に付けるものも男性向けではなく、かわいいものが多い女性向けのものであるというだけで、女性になりたかったり、恋愛対象が男性というわけではない女装男子です。
男性恐怖症のまゆと初めて会った時には、彼女が痴漢に遭っているのを助けて落ち着かせた後去ろうとし、連絡先を知りたがる彼女に自分が男であることを伝えます。それまであえて伝えなかったのは性別を隠しているわけではなく、痴漢被害にあったまゆを気遣ってのことという優しさが見えます。
そんなゆきの魅力は、彼が男と女、どちらの性別を持っていたとしても変わらないであろう「人間的魅力」と言えると思います。
まゆはその時、ゆきが女性だと思ったまま初恋し、男の人を好きになったのではなく、好きになったのがたまたま男の人だっただけ、と、その男性恐怖の根深さをのぞかせます。
初恋というところから、彼女がもともと同性が恋愛対象だったのかもはっきりとはわかりません。性別を超えた魅力を持つゆきを好きになり、彼が男で女装をして過ごしているという偶然から、他の男の人と違いゆきには恐怖を覚えず関われるようになり、ゆっくりとまゆの男性恐怖症も和らいでいきます。
お互いを認め合い、受け入れあい、惹かれ合う二人の少し変則的な恋愛模様は、彼女たちが幸せになる様を見守りたくなる魅力があります。

薬屋のひとりごと
8

宮中で働く変わった少女の物語

ネットで話題になったことがある「薬屋のひとりのごと」。
宮中でとあるお姫様の侍女となった薬屋の少女のお話です。
ある日外で用事を済ませていた時、運悪く人攫いに逢い、宮中で働かされることとなった猫猫(マオマオ)。
宮中で起きた姫の子供が亡くなってしまう事件が起きます。その原因に気づいた猫猫は、こっそり姫にそれを伝えます。その一件をキッカケに、猫猫の運命が変わります。
猫猫はもともと薬屋として働いていましたが、宮中での事件の原因を判明させたことにより姫に気に入られ、その姫の侍女として毒味役の仕事を与えられます。
いままで目立たずに任期を終えようとひっそり仕事をしていましたが、事件を機に隠していた好奇心、毒に対する興味が露わとなります。そして姫から与えられた毒味役、そして薬の調合をやるようになります。

私は二巻まで読んでの内容ですが、個人的に物語は大好きです。
中世の宮中が舞台となり、その時代が好きな方はもちろん、詳しくない方でも読みやすいと思います。
原作は小説で、コミカライズ版が2人の漫画家さんによって出ています。
私は「ねこくらげ」さんという方の漫画を読みました。
漫画は正直、絵柄の好みによるかもしれません。
ねこくらげさんのほうを先に読みましたが、もう1人の「倉田三ノ路」さんのほうも次回読んでみようと思っています。
猫猫、可愛いです。
薬の調合している時の楽しそうな様子、料理に毒が入っていた時の嬉しそうな顔、心から楽しんでいる姿は、怖いと思いつつ引き込まれるものがあります。
そのあたりの表情は、とても綺麗に描かれているので惹きこまれます。
漫画全体もとても綺麗に描かれているので絵が好き、という方にもおすすめです。

ロボコップ(2014年の映画)
6

リメイクとは

80年代のロボコップ映画のリメイク版で、2014年の映画です。
当たり前かもしれませんが、CGの技術は発達し、過去の作品では再現不可能であったであろう、精密なメカのデティールや都市風景、敵ロボットの細かい動きなど、“見せる”という点に関しては、申し分ありません。
特に前半のシーンですが、ロボコップを後に造り出す博士(ゲイリー・オールドマン)が、腕を亡くしたギタリストの患者に、新しくメカの精密な腕を取り付けてあげて、再び以前の様にクラシックギターを演奏するシーンがあります。こんな技術が現実にできたら、本当に感動するだろうなぁと思える程、素晴らしいシーンでした。弾いている本人の表情が、最初は困惑しながらも、徐々に以前の感覚を戻し、昔の様に演奏できるようになれた事に、見ているこちらも感極まります。
もう1つよいシーンは本編の中盤頃になりますが、主人公が自分が改造されてロボット警官になってしまったと気付き、苦悩するシーンです。こちらも、旧作と同じく以前の自分には戻れない、家族との別れ、これからは体の大半が機械化した、サイボーグとして生きていかなければならない事の苦悩が、しっかり描かれています。
ただ残念なのは、全体的にですが旧作にあった、どっしりとした雰囲気というか、おそらくロボコップの動きが軽やか過ぎる事も原因の一つかもしれませんが、なにか物語がテンポよすぎる雰囲気です。リメイクなので、ある程度ネタが割れているのでしかたがないかもしれませんが。
ヒットした旧作を乗り越えて、新しい物語を造り出すのは、大変な事だと思いました。