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asakeno73のレビュー・評価・感想

谷山浩子 / Hiroko Taniyama
8

色褪せない少女の心、歌い続けて半世紀

中学生の頃から活動を続ける息の長い歌手・シンガーソングライターの谷山浩子。
数多い提供曲の中では、映画『ゲド戦記』の挿入歌「テルーの唄」(歌:手嶌葵)が有名でしょうか。彼女自身が歌う自作の歌であれば、あの『みんなのうた』で知らずに聴いた方も多いかもしれません。

「まっくら森の歌」や「そっくりハウス」などご存じでは?実はここに挙げた2作、『みんなのうた』の子ども時代のトラウマソングとしても有名だったりします。
甘い声で伸びやかに歌われる彼女の歌は一見可愛らしい印象ですが、それだけではありません。どこか不思議な雰囲気の歌詞ゆえか、メロディーゆえか、はたまた彼女の自在な声の魔力のゆえか…。この世ならざる世界を垣間見るような、いつのまにかそこにとらわれてもう逃げられないような、そう思わせる歌なのです。

前述の「そっくりハウス」を見てみましょう。主人公は小さな女の子。真夜中目が覚めたら、部屋の真ん中に”小さなおうち”があります。
それは女の子の住んでいる家と何もかもそっくり。窓からのぞきこむと、小さなお父さんやお母さんまでいて、いつも通りの日常を送っています。子ども部屋には”わたしとおんなじパジャマをきて こちらにせを向けて何かをのぞいて”いる小さな女の子。彼女がのぞいているのは”ほんとに小さなまど”です。
”おうち”の中にも外にも今女の子がいるのと同じ”うち”があり、どの家も”小さな女の子”に、窓からのぞき込まれているという永遠に続く入れ子の世界。
女の子の立場で谷山浩子があどけなく歌うこの「そっくりハウス」。当時の子どもたちの多くが何とも言えない怖さを味わったに違いありません。

ここまでは「怖さ」を軸にご紹介しましたが、彼女の歌の魅力を語るにはそれだけでは足りません。猫好きにはたまらない「しっぽの気持ち」、アンデルセン童話の世界を下敷きにした「カイの迷宮」、暗く美しく幻想的な「王国」、ナンセンス文学のような「意味なしアリス」。かと思えば優しく明るい恋を歌う「カントリーガール」、さらに聴く人に「何を言っているかわからないよ…」と思わせる狂気の「まもるくん」などなど。彼女の世界の幅広さには驚くばかりです。

どの作品にも共通するのは、「好きなものは好き!」と主張する、ワガママで奔放なみずみずしい少女の心であるような気がします。人は選ぶかもしれませんが、とにかく、一聴の価値あり!です。

スターリングラード
8

要衝スターリングラードでの独ソ両軍の狙撃兵同士の対決を劇的に描いた『スターリングラード』

『スターリングラード』は2001年公開の戦争映画で、監督・共同脚本・製作はジャン-ジャック・アノーです。
原作はウィリアム・クレイグが1973年に発表したノンフィクション作品『Enemy at the Gates: The Battle for Stalingrad』で、これをジャック・アノーとアラン・ゴダールが脚本化しました。
原作は1942-43年の冬にスターリングラードの戦闘で生起したできごとを叙述しています。
映画の主人公は実在の狙撃手でありソ連邦英雄であるヴァシリ・ザイツェフを虚構化したロシア軍狙撃兵。
映画では、その狙撃兵と独国防軍狙撃兵学校の校長であるエルヴィン・ケーニッヒ少佐が対決します。
主演はザイツェフ役にジュード・ロウ、その他、ターニャ・チェルノワ役にレイチェル・ワイズ、ケーニッヒ役にエド・ハリスが配されています。
少年の頃のヴァシリ・ザイツェフはウラル山脈で祖父から猟銃で狙撃する方法を伝授されました。
時は独軍によるソ連侵攻の1年後の1942年、ザイツェフは赤軍の兵士となり、スターリングラードの前線に立っています。
ソ連軍政治委員の無謀な指揮のために小銃も持たずに自殺的な突撃を強いられたのですが、ザイツェフはなんとか殺戮を生き延びることができました。

呪術廻戦 / Jujutsu Kaisen
9

歴代の少年ジャンプ名作バトル漫画の面白さが凝縮された作品「呪術廻戦」

呪術廻戦は、週刊少年ジャンプで連載されている異能力バトル漫画です。歴代のジャンプ漫画が好きな読者であれば即ハマることのできる王道マンガであり、設定も程よい伏線が織り交ざって飽きさせず読みやすいです。敵の正体は「呪い」という得体の知れない存在でありながら、主人公含む呪術師側もそれに負けないくらいのポテンシャルや飛び抜けた技を持つ集団で、そんな強者と強者がぶつかりあったら結末はどうなるのだろう?と今から期待感があります。主人公の体内には呪霊の中でも特に最強とされる「両面宿儺」が封じられており、これが気まぐれに力を貸す形で出現したり、呪術師側には主人公を早めに始末すべき対象だと言って危険視するものもいたり、主人公がこれを飼いならすことになるのだろうか?などなど、この先の展開の鍵になっていることは間違いありません。同じように、どこか『ナルト』における九尾の狐のように、体内にいる危なかっしい存在が逆に切り札のように感じることができます。また各登場人物たちは独自の技を持っており、その特性によっては接近戦、中距離、遠距離に適していたり、精神に危害を及ぼしたりと呪術の種類が豊富なのもハマる要素になると思います。この辺りはまるで『ハンター×ハンター』のように複雑になっており、絵のスピード感から見ても強い影響があるのではないでしょうか。今はまだ主人公たちも成長しきっておらず、まだまだ伸びしろがありそうなので、バトル漫画のワクワクポイントである「覚醒」がこれからあるのではないかと非常に楽しみに思っています。

ドラゴンクエストV 天空の花嫁 / DQ5 / ドラクエ5 / Dragon Quest V: Hand of the Heavenly Bride
10

正しく人生の縮図そのもの

ドラゴンクエストⅤはドラクエの中でも名作中の名作とも言えるストーリー性となっている。
正しくそれは人生の縮図そのものだ。

オープニングは主人公が生まれるところから始まり、ゲーム進行は主人公の少年期からスタートする。

伝説の勇者を求めて父親と二人旅を続ける主人公は、一人の少女と出会う。
後に再開し、後の結婚イベントへと繋がるのだが、再開時は久しぶりにあったような懐かしい気持ちになる。

旅を続けていると、父親の死や、魔物に捕まってしまい、奴隷として日々を送る事もある。
時間が流れ、主人公は青年となり、生きていると判明した母を探す旅へと出発する。

広い世界観と、結婚相手を自分で選ぶ、結婚イベント。
結婚イベントの後は出産イベントもあり、常にプレイヤーを飽きさせない。
このイベントで相手を選ぶことになるだが、何度プレイしてもこのイベントは心がドキドキする気持ちになる。

更に、出産後に主人公等は石像へと変えられてしまい、再度数年の月日が流れる。
ここまで長期間にわたり、主人公の生き様を体験できるゲームは他にないだろう。

石化を解きに、成長した主人公の子供が駆けつけてくれる。
あの時生まれた子がこんなに大きくなったのかと、ここも感動するポイントの一つだ。

内容としても、ドラクエ初のモンスターを仲間にできるシステムが導入されており、後のドラゴンクエストモンスターズ等の先駆け的なゲームにもなっている。

とにかく日本人であれば一度はプレイし、壮絶な人生を送る主人公の永きにわたる冒険を体験してみてほしい。

見える子ちゃん
8

きれいな絵柄と、おぞましい霊のコントラスト

普通に暮らす普通の女子高生。ただ特殊なのは霊が見えるという一点のみなのですが、その一点がとてつもなく不憫です。
きれいな女性を描く絵柄に対し、登場する霊は本格ホラーのそれ。
悪霊であれ、害があるかどうかわからない霊であれ、その姿は見たものからすると恐怖を覚えるビジュアルをしていて、その態度から「自分が見える人を求めている」ことが伺えます。
「ちょっと霊感がある人」とは違い、はっきりバッチリ霊が見えてしまう、でも人並みに怖がりな彼女はいつも必死に見ないフリ。
読んでいて、絶対にリアクションしてしまう…!と、物語の中だけのものとして終わらず、つい「自分だったら」を考えてしまいます。
彼女は霊媒師でもなんでもなく、そのような知人もいないため、霊がどのような存在なのかは想像するしかありません。香水の成分で消滅する霊がいたり、霊から守ってくれる神様のような存在がいたりなど、この世界の不思議は全くわかりません。
コワいだけではない話として、次のようなエピソードがあります。
猫の里親になると名乗り出てきた男性の周囲に、猫と思しきたくさんの霊がまとわりついていることを見て、彼に猫を引き渡すのを中止したのです。この展開には、男性への強い疑いと嫌悪を覚えるとともに、猫が無事に他の優しそうな方に引き取られたことに安心しました。
また、産休をとる先生のお腹辺りに白い手のようなものが見え、心配の声をかけると、先生からは一人目が無事に生まれず、今回は二人目であることを打ち明けられます。白い手は小さな赤ん坊のようで、先生の指を愛おしそうに掴んでいるのです。
黒い霊ばかりが登場していた本作にも、色々なタイプのものがいるのだと感じられ、「霊が見える子が必死で無視をする」という内容ながら、ゆっくりと霊のことが理解できそうな要素が集まっていく展開は飽きることがありません。