パセリ伝説

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パセリ伝説
10

大人がハマる!ファンタジー小説

講談社青い鳥文庫から出ている「パセリ伝説」。児童書のカテゴリーで、本屋でも絵本や児童書のコーナーに置かれている作品だが、大人にこそ読んでもらいたいシリーズです。
全12巻に加え、外伝として「守り石の予言」があります。
著者の倉橋燿子は、30年以上にわたり数々の作品を書き続けている作家で、青少年期の若者たちに向けて、人生の向き合い方や試練の超え方を物語を通して伝え続けています。
このパセリ伝説もまた、双子の姉妹の愛と葛藤をテーマに恋、友情、そして魂としての生まれ変わりに至るまで、壮大な展開が繰り広げられ、まったくもって児童書にしておくのはもったいない作品です。
奇跡の水「ミラクルオー」の使い手として生まれたパセリには、母国ラメール星を救う使命がありました。そして、双子の妹ミモザもまた、自分こそが真の使い手と名乗り、パセリとミラクルオーを争います。
このミラクルオーのすごいところは、使い手の心の状態に反応するというところです。パセリであっても、怒りや憎しみの思いがあれば、思うようには使えません。
パセリがいい者、ミモザが悪い者としていないところがこの作品の素晴らしいところだと思っています。
誰であれ、人間関係に悩みます。コンプレックスだったり、試練があったりします。
そんなとき、どうすればいいのか、なぜそうなってしまうのかが分かる本なのです。パセリを通して、読んでいる自分自身のことが見えてきます。そういった意味でも学生や社会人の人にも読んでもらいたいです。
そして、最後にパセリはいったいどのようにしてラメール星を救うのか、ミモザのことはどうするのか、そのシーンまでの道のり含めて、読んでいただきたいです。