大正野球娘。

大正野球娘。のレビュー・評価・感想

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大正野球娘。
9

男子がすなるという、あれ

大正時代を舞台に女学生達が男子学生を相手に、その鼻を明かしてやろうと野球をもって挑む作品だ。萌えを全面に押し出しただけの作品かと思いきや、意外や意外、ちょっとしたアニメ作品にもひけを取らないほど実に丁寧に作られている。1つはその舞台である大正という時代背景だ。ヨーロッパ諸国に追い付け追い越せとばかりに様々な欧化政策が取られていた大正の世俗・雰囲気が実にその時代に忠実に描かれている。当時は日本においてもまだまだ女性の社会的身分が低く、亭主の3歩後ろを黙って歩けという時代。この時代に生きる主人公たち女学生達の男子学生達に対する姿勢が、その丁寧に描写された時代背景によってより一層小気味よく動いているのだ。
さらに注目したいのは物語の題材となった野球の描写である。今どきの萌えアニメではちょっと考えられないくらいに野球の描写もこれまたしっかりと描写されている。最初は素人以下であった主人公達の野球の動きが、地道な練習を経て、一つ一つ段階ごとに上達していくその過程は、野球を愛する者にはたまらなく映る事だろう。もちろんこれに加えて萌えという要素も十分に満たされる作品である。女学生たち一人ひとりが実に個性的で、魅力的で、彼女達が野球への理解を深めていくその過程において、それぞれに何度もスポットが当たっていく。質の高いアニメを見たいという方にはぜひおすすめのアニメだ。