毛皮のヴィーナス

毛皮のヴィーナスのレビュー・評価・感想

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毛皮のヴィーナス
6

ポランスキーの異色作

この映画はザッヘル=マゾッホの小説を映画化したものではなく、この小説を舞台化しようとする脚本家と無名の女優との顛末を描いた作品で、登場人物はその2人しか出演しないというものです。
私はてっきりこの小説を映画化したものだと思って劇場に脚を運んだのですが、30分ぐらい過ぎてもこの2人しか出てこない内容に「シマッタ!これは俺の思っていた映画とは全然違うじゃないか!アテが外れた」などと映画館の暗がりで一人心のなかで地団駄を踏んでいました。そういう思いで観ていたせいなのでしょうか、この登場人物たちの演技がやっつけ仕事に感じられました。
考えてみれば私はポランスキーの作品はあまり楽しめたことがないし、唯一面白いと思ったのはハリソン・フォード主演の「フランティック」ぐらいなもので、ポランスキーの作品は体質的に受付ないのかもしれません。私はホラー・ファンでもあるので「吸血鬼」を観て少し面白かったぐらいの印象しかありません。その後DVDで「ポランスキーの欲望の館」も観たのですが冗長な展開だと感じました。この「毛皮のヴィーナス」に話を戻すと、登場人物が2人だけという発想はとても面白い試みだと思います。ただ、これは映画でなく演劇にした方が面白くなると思いました(エキストラを集めなくてもいいですしね)。