リリーのすべて

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10

深い愛と苦悩の物語

1920年代、画家として成功していたアイナー・ベルナーは、肖像画家の妻・ゲルダに頼まれ女性モデルをしたことをきっかけに、自身の中の女性の人格「リリー」を意識し始めます。
始めは悪戯だった女装がリリーとして目覚め、アイナーでいられる時間が少なくなります。ゲルダは混乱し、悲しみ寄り添いながら、夫もリリーも支えていきます。そして、世界初の性別適合手術を受けます。1回目は性器を取り、回復してから2回目の手術で膣を作るのです。1回目の手術でゲルダは「アイナー」と別れます。術後すぐに「リリー」の元にゲルダは向かいます。リリーはデパートガールとして働き、元々の自分の「性」(女性)を取り戻すべく2回目の手術を受けますが、危険な状態になり、ゲルダの見守る中亡くなります。

男性から女性への心の動きと、葛藤、妻への愛をエディ・レッドメインが圧倒的な演技で魅せます。そして、妻ゲルダをアリシア・ヴィキャンデルが深い愛を熱演します。ゲルダは難しい役だと思います。「リリー」が主人公ですから、ゲルダの心理は深く描かれていないのですが、それを見事に表現しています。「ジェンダー」とか関係なしにしても、是非観るべき映画だと思います。素晴らしく、又、悲しい物語です。

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8

エディレッドメインの美しさが凄かった!

1926年、デンマーク・コペンハーゲンに暮らす肖像画家ゲルダと風景画家アイナーの話。
夫のアイナーは美術界でも少しずつ評価は上がってきてますが、妻ゲルダはなかなか認めてもらえず苦戦しつつも夫婦仲はとても良好!
ある日、ゲルダが描きかけていたバレリーナのモデルが来れず急遽、夫・アイナーに頼むことに。
拒否しつつも衣装を合わせるだけで良いというゲルダに、レースの広がった綺麗な衣装を手に取ったアイナーはその瞬間、言い知れぬ感情が自分の中に目覚めた事に戸惑います。
そこへ遅れてやってきたモデルのバレリーナは、衣装を合わせてポーズを取るアイナーを見て「リリー」と面白がって名付けました。
そして妻ゲルダもそんな夫を冗談で女装させて友人のパーティーに出席させた事から、アイナーの中でどんどん「リリー」が目覚めてきます。
ちょっとした冗談から恐らくずっとアイナーの中で眠っていた「リリー」を目覚めさせてしまった事で、アイナーは「リリー」になるべく、世界で初めて性転換手術を受けます。

アイナー役のエディ・レッドメインが後半は本当の女性のように美しいリリーになっていく変化が素晴らしく、そして彼を最初から最後まで、最後はもう夫という存在ではなくなったのに深い愛で支えた妻ゲルダを演じたアリシア・ヴィキャンデルの画面から滲み出る愛情に涙しました。
この時代に性転換手術という未知の医療に踏み切った2人の物語を、コペンハーゲンの寂しげな風景、パリの華やかな背景に載せてとてもとても丁寧に綴られた作品です。