イジメの時間

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イジメの時間
8

今までに読んだことがない「イジメ」を題材にした漫画

この漫画の冒頭は「出来ることならもう二度と生まれてきませんように…」と、少年が校舎の屋上から飛び降りるシーンから始まる。そしてその物語はその半年前からスタートする。

この物語は正直に言うと胸をえぐられるような残酷なシーンが連続して出てくる。イジメ側の止められない「イジメの衝動」、そして少しずつイジメが連鎖し、より過激なものになっていく。またいじめられる側のだんだん追い詰められていく、そして自殺を決めるまでの痛々しいまでの心理状況も、読むのを止めたい位に伝わってくる。
4巻までは痛々しいだけの、普通のイジメ漫画。読者はきっと、イジメ側の少年たちに殺意しかわかないだろう。

ここまでで注目するべき点はイジメている少年たちの罪悪感をごまかすための「ルール」の存在だ。このルールがあるから、イジメは彼らの中で正当化され、イジメられる者もそのルールの下で暴力に晒されていくことになる。

しかし、この漫画のすごいところは、その後にある「復讐劇」だ。あまりに酷いイジメの描写に心が折れてしまいそうな人は、5巻から読んでもらいたい。主人公の今までの姿は何だったのかという位の変貌を見ることができ、そしてやられたことを「同じこと」でいじめっ子の少年たちにやり返していく痛快さを味わえるだろう。

これは教育の面からみると問題を投げかける衝撃的な漫画かもしれない。少年たちにあまり読んでもらいたくない作品だと思う。だけど正直な気持ちで言うと、私は今の学生たちにも読んでもらいたい作品だ。このリアルな物語を一つの「教科書」にしてもらいたい。

また、かつて「イジメた側」、「イジメられた側」だった大人たちにもこれを読んでもらって、感想を聞きたい。双方の感想の違いからグロテスクなほどのリアルが見えてくるはずだ。