エリック・クラプトン~12小節の人生~

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エリック・クラプトン~12小節の人生~
8

天才ギタリストの葛藤が淡々と描かれている

誰もが認める天才ロックギタリストのエリック・クラプトンの現在までの生涯をたどった実際の映像を使ったドキュメンタリー伝記映画です。

ミュージシャンとして華々しい成功を収める裏で、幼少期に母親から拒絶されたトラウマを引きずり人間関係、恋愛に苦労する生身の人間としてのエリック・クラプトンの姿が淡々と描かれていて。
彼の音楽のファンはもちろん、名前ぐらいしか知らない人でも興味深く引き込まれます。
親友ジョージ・ハリスンの妻パティ・ボイドと密会を重ね、不倫で身体の関係を持った後もジョージは素っ気ない態度しか示さなかったことへの言及など、当事者の口から語られる事実が生々しく、すべてが過去になった今だからこそ話せる内容なのだと思います。
クラプトンのドラッグ中毒、アルコール中毒時代の映像もショッキングで、ステージ上でグラスをたたき割って観客に罵声を浴びせたり、座った目でぐいぐいウイスキーを煽る姿などは、本人のイメージダウンになるので公開してこなかったのを、敢えてここで公開したことに意味を感じます。
いろいろな苦難を乗り越えて、幸せな家庭を築いた現在のクラプトンが中毒患者の矯正施設について語るシーンはクライマックスで弱い一個人が音楽の力で遠回りしながら成功したサクセスストーリーだと感じ感動しました。