ロッキンユー!!!

ロッキンユー!!!のレビュー・評価・感想

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ロッキンユー!!!
2

打ち切りになった超人気漫画『ロッキンユー!!!』というthe青春漫画

「99人に無視されて1人に刺したい」そんな思いを持つロック研究会部長、不二美 アキラ。
そんな彼が新入生の前で演奏したナンバー・ガールの『透明少女』に感動しロック研究会に入部する真神たかしを主人公とする漫画。
ナンバーガールをはじめ、1995年生まれ以降の読者にはあまり知名度が高くなく、「音楽好きなら知ってる!」というようなアーティストがたびたび出てくる。
高校生が主人公の軽音漫画ということもあり、バンド好きな少年少女にはかなり刺さりそうなテーマの漫画となっている。
しかしながら、「99人に無視されて1人に刺したい」という思いとは裏腹に、
ボーカロイドやBUMP OF CHICKEN、知名度が上がってきていたAMAZARASHI、THE ORAL CIGARETTESなど、
「誰もが知っている曲」や「王道ロキノンバンド」「売れ線アーティスト」が展開されていく。
ナンバーガールやSpotifyとコラボしたりなど力をかなり入れていた作品ではあるものの、
「99人に無視されて1人に刺したい」という主人公が感銘を受けた思いとは裏腹に物語が進んでいく。
音楽付きや作中に出てくるアーティストのファンからは嬉しいのかもしれないが、
少しでも音楽に精通している人たちからすると「これは万人に刺さるアーティストでは?」と思ってしまうだろう。
この矛盾を抱えたまま打ち切りになってしまったのは非常に残念だ。
ただ、同人誌として続きがあるようなので、気になった方は続編の『ロッキンニュー!!!』も読んで欲しい。

ロッキンユー!!!
9

一度でも楽器を触ったことのある人間なら間違いなく青春時代を思い出す傑作

とある高校の「ロック研究会」を舞台に、バンドを始めた少年達の成長を描いた青春ロックドラマです。
やりたいことを見付けたいと切望していた一年生の男の子を主人公に、初めて生の音楽に触れ、歌う喜びを知り、誰かと一緒に演奏する楽しさを感じていく模様が緻密に描写してあります。
物語の中でメンバーが抱える苦悩や葛藤は、楽器を扱ったことのある人ならば、一度は感じたことがあるであろうリアルなモノです。一つ一つのドラマが進行していく度に、目頭が熱くなります。
一作品としては、線が粗かったり、セリフの言い回しにに気になる点があったりしますが、それを補って余りある熱狂度が確かにあります。
等身大で描かれる登場人物の人物像は、誰にでもどこかしら共感出来るところがあり、彼らが成長していく度に、自分自身も成長出来ているような気さえしてきます。
また、演奏パートなどで見ることが出来るダイナミックな動きは臨場感抜群で、実際に存在する曲の歌詞が引用されていることも相まり、絵と文字で構成された世界の中でも、「ライブ感」を肌で感じることが出来ます。
先の展開が気になる秀逸な物語構成、個性豊かなキャラクターなど、音楽にあまり興味が無い人でもきっと楽しめる注目作です。