ふれなばおちん

ふれなばおちんのレビュー・評価・感想

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ふれなばおちん
6

ありそうでありえない不倫物語

最近ドラマでもよく見かけるようになった不倫を題材にした漫画です。どこにでもいる平凡な主婦の夏が同じ社宅に引っ越してきた夫の部下である派遣社員の龍と禁断の恋に堕ちる物語となっています。
主人公の夏は身なりを全く気にせず女などとうの昔に捨てましたといった感じの普通のおばさん。夏のあまりの身なりに対する関心の薄さに、思春期の娘は羞恥心を抱いており、また夫は呆れるを通り越して諦めているような様子です。ある日夏の夫の口利きによって俳優とサラリーマンの二足の草鞋を履いている龍が同じ社宅に住むことになります。その時に夏の夫は龍に対して「妻を誘惑してやってくれないか」と冗談とも本気とも取れないようなお願いをするのですが、その言葉を真に受けた女たらしの龍の行動により、夏と龍の2人の関係は深いものへとなっていくのでした。
この物語がリアルだなと感じる最大のポイントは夏の人物像ではないでしょうか。家族のために自分のことは二の次でせっせとパートに行き、美味しいご飯を作り、身の回りの世話をしてくれるどこにでもいる良いお母さん。よくこの手の物語でありがちなのは少しばかり綺麗な人妻とイケメン独身男が美しい恋に堕ちるようなストーリーですが、この漫画で描かれている主人公の夏は決してそんな事はなく、本当に近所にいる普通のおばちゃんなのです。そしてそんな夏に色男である龍が次第に惹かれていくのですが、、龍が夏にどうしてそこまで恋に堕ちてぞっこんになったのかという描写はもちろん、夏自身もなぜ龍のことが好きになったのか、ここらへんがあまり強く描かれていなかったように思います。もしかしたら久しぶりの恋に舞い上がっただけで、お互い実はそんなに好き同士ではなかったのかもしれないとも読み取れますが、ここらへんの描写がもう少ししっかりしていればもっとリアルな物語になったのかなという印象を受けます。
また何と言ってもこの物語は衝撃のラストが待ち構えています。やはり不倫という人の道から外れた行為は天罰が下るのか、、だとするとなぜ夏はいつまでも変わらず温かい家庭を営んでいるのか?少し後味の悪い終わり方もマイナスポイントかなと思いました。

ふれなばおちん
8

こんな出会いが欲しくなります

小田ゆうあさんの「ふれなばおちん」。
この漫画のタイトルを初めて目にしたときに、どんなストーリーの漫画なのか、全く見当が付きませんでした。

「斉藤さん」で小田ゆうあさんの、はっきりとした線で描かれたイラストと、明確で分かりやすい登場人物たちにはまりましたが、今回のこの「ふれなばおちん」も綺麗なイラストと登場人物たちにぐいぐい惹きつけられてしまいました。

ややこしい思春期の長女と、まだかわいらしさの残る食欲旺盛なコロコロとした小学生の長男。
そんな二人を一生懸命育てているうちにどんどんと、女ではなく、お母さんになってしまっていた主人公が、顔に傷のあるいい男、佐伯さんと出会ったことから子育て漫画ではなく、恋愛漫画となっていく。

その展開がとてもテンポよく、ドキドキ感がたまらなくて、自分の生活と重ねてしまいました。
なかなかこんないい男代表のような佐伯さんに出会うことも、興味を持ってもらうことも出来ないだろうけど、漫画の中のことなのに妙にリアルに憧れてしまうのは、自分も主人公と同じ「お母さん」だから。

ただ好き、大好き、会いたい、という恋愛だけがストーリーになっているのではなく、お母さんとしての日常もストーリーに登場するのでついつい自分もこんな出会いがあれば、と主人公がうらやましくなってしまいます。