心が叫びたがってるんだ。 / ここさけ / The Anthem of the Heart

心が叫びたがってるんだ。 / ここさけ / The Anthem of the Heart

『心が叫びたがってるんだ。』とは、2015年公開のアニメ映画。社会的ヒット作『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない』のスタッフにより作成され、様々なメディアに展開していった青春群青劇。幼い頃のトラウマでしゃべれなくなった高校生・順。地域交流会でミュージカルを披露することとなり、「歌なら言いたいことが言えるかも」とやる気になった彼女は、仲間たちとの様々な交流の中で成長していく。青春の爽快感と切なさが詰まった物語と、ミュージカルとして生まれ変わる懐かしいメロディーの数々を楽しめる映画作品である。

心が叫びたがってるんだ。 / ここさけ / The Anthem of the Heartのレビュー・評価・感想

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心が叫びたがってるんだ。 / ここさけ / The Anthem of the Heart
7

「あの花」と比較すると感動系の作品ではありませんが、高校生特有の「悩み」「恋」「挫折」といったものに共感できる要素は多くあり「これ、自分も感じたな…」と思える要素があるのなら青春ものとしては見る価値あり。

「心が叫びたがってるんだ」は高校の文化祭で演劇をやる事になり、無理矢理実行委員として集まる事になった男女四人が各々悩みを抱えながら前へ進んでいく青春ものです。

※少しだけネタバレがあります。

「あの花」の印象が強く映画を見た時は「イメージと違った」と感じました。
しかし、ヒロインである成瀬順の「人と話せない」「気持ちを伝える事が怖い」といった心境には個人的に近いものを感じました。

そこから作品に惹きつけられていき、他にも「何となく空気を読んで目立たようにしている坂上」「坂上との恋愛が空中分解したが、まだ恋心を抱いている仁藤」「骨折で活躍できなくなった野球部の田崎」と高校生特有の青春っぽい悩みを抱えています。

特に田崎は前半はやさぐれていて感じが悪く「なんだこいつは?」と反感を抱きましたが、衝突する中で強く人に当たられると普通にショックを受けたり、反省した所は素直に受け入れていく様子が描かれていく中で「なんだこいつ、実はいい奴じゃないか」と徐々に愛されるキャラクターになっていきます。

個人的には昔はおしゃべりだったけどある事件をきっかけに人前で話したり本音を言うと腹痛を起こす成瀬が好きで、一度恋という「救ってくれた誰か」に寄りかかるのですが最終的には自分の中で心の整理をつけて演劇を成功させる描写は共感できる人間にとって「良かったね…」と感じました。

登場人物は四人いるので誰もが一度は抱いたことのある共感できる悩みはあるかと思います。

同じ悩みを抱える高校生や青春に飢えている社会人も、心にどこか悩みがありそれに共感できるキャラクターがいるのなら一度見る価値は十分にあると思います。

心が叫びたがってるんだ。 / ここさけ / The Anthem of the Heart
6

もう一度あの頃に戻れたら

主人公の少女の様に場面緘黙症の様な症状を持っていてもいなくても、人に自分の本当の想いを伝えるのは難しいのだと改めて気付かされる作品です。
担任に強制され音楽祭実行委員が4人クラスから選ばれます。元はお喋りでしたが過去のトラウマから話す事が出来なくなったヒロイン、音楽一家に生まれるも両親が離婚し孤独な少年、その少年の元恋人で人気者のチアリーダーの少女、ケガをし投げられなくなった野球部の野性味あふれる元エースの少年、といった面々です。
彼らはクラス内での立ち位置は違えど、それぞれが青春期特有の恋や部活内での悩みを抱えています。委員の仕事を通じて彼らはお互い本当の自分を出し合い、それがクラス全体に影響を及ぼしていきます。
本番の音楽祭のミュージカルで、ヒロインは仲間達の支えで声を取り戻す事が出来ました。しかし、それは初恋を失う、という代償がありました。
全体的にヒロインがなかなか話せない事にもどかしさを感じる事が多かったのです。しかし、誰もが失った青春の輝きや大きさにハッとさせられる作品です。委員会や部活や学業や恋に、またもう一度学生時代の仲間達と本気でぶつかり合って成長出来たらな、とほろ苦く感じる佳品です。

心が叫びたがってるんだ。 / ここさけ / The Anthem of the Heart
9

『心が叫びたがってるんだ』の魅力

僕たちが何かをしようとする時、心がイメージを作ります。
何かを話そうとする時、心が意識を紡ぎます。

普段、何となく会話をしたり、行動したりしていますが、全て先天的に心が動くことで現象化しています。

『心が叫びたがってるんだ。』。
僕はタイトルを見た時に、情報も物も溢れた現代だからこそ必要な物語なんじゃないか…と感じました。

実際にこの作品を見た時、とてもわがままな女の子と、気まぐれの優しさで周囲の人を振り回す男の子の甘酸っぱい青春物語だと思う人が多いかもしれません。

でも、きっとこの作品が伝えたいのは、情報も物も溢れた現代に見失った「自分自身の心」にもっと目を向けるべきなのではないか…という問題提起のような気がします。

僕たちは無意識に社会性を優先し、わがままであることを避けます。
何も考えなくとも、自分がどう見られているかを社会のルールと照らし合わせて、常に気にしています。

でも、だからこそ、重要なのは自分が自分を大切にすることを思い出さなくてはいけません。そうじゃないと心が壊れていく。『心が叫びたがってるんだ。』と言う作品は、今の時代にこそ必要な事を「青春」という誰もが見やすい形で教えてくれる作品だと僕は思います。

心理学が大流行しつつあります。少しずつ「自分の心」に目を向け始めている人が増えています。ふと立ち止まり、わがままな少年少女の恋愛物語を見てみませんか?

『心が叫びたがってるんだ』の映画予告編はこちら
→https://www.youtube.com/watch?v=xjsJPAExuLg

心が叫びたがってるんだ。 / ここさけ / The Anthem of the Heart
9

特に若い世代にオススメ!1度見て何年か後にまた見直してほしい!

とある一人の女の子が主人公のお話です。普通の家庭に生まれた女の子です。ある時、実の父親が知らない女の人とホテルから出てくるところを目撃してしまいます。それを母親に言ってしまいました。母親からは喋らないで、誰にも言わないでと言われ、追い出される父親には全部お前のせいじゃないかと責められてしまいます。それから女の子は自分を強く責めてしまい、話すとお腹が痛くなるようになってしまいました。よく喋って明るい女の子だったのに、暗くて何も話さない、話したいけど話せない子になってしまいました。
その状態のまま高校生になり、担任の先生に委員会を勝手に決められてしまいます。そこから、その子の人生が変わっていきます。話したらお腹が痛くなってしまうので、携帯を使って話しながら、同じ委員会の子たちと地域の交流会のようなもので発表するミュージカルを作っていきます。その時に喋るのはだめだけど歌いながら言葉を話すときにはお腹が痛くないことに気づくのです。
この子の声が可愛くていいなと見ていたのですが、歌を歌った時の感じもすごく素敵でした!携帯を使いながら話すという所なんかも現実っぽくていいなと感じるところです。何より、話のしょっぱなでホテルから出てくる父親を見つけてしまうという衝撃的なものってないですよね(笑)現代の問題を含めながらそれをどう受け止めていくか、どう変わっていくかを上手く表している映画だなと思います。ぜひ一度見てから何年か後に見返してどう感じるかも含めて楽しんでいただきたいです!