小さき勇者たち〜ガメラ〜

小さき勇者たち〜ガメラ〜のレビュー・評価・感想

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小さき勇者たち〜ガメラ〜
5

タイトルなし

2006年に公開されたガメラシリーズ生誕40周年作品で、1999年の「ガメラ3 邪神覚醒」から7年ぶりの新作となりました。
本作の特徴は主人公の少年・透と「トト」と名付けられたガメラの交流を描く所謂ジュブナイル作品で、ハード路線だった前3部作とは一線を画す作風となり、どちらかと言えば少年とガメラの関わりという意味合いでは昭和のガメラに近いといえるかもしれません。
本作は新しいガメラを意識して製作されていて、また劇中愛すべき存在となっている為ガメラことトトの成長過程も綿密に描かれていて、その際実際の子亀やロボットの造形物を使い分けていたのが印象的でした、一方で巨大化後も(冒頭に出ていた別個体、所謂アヴァンガメラと異なり)ガメラの顔のデザインが非常に可愛らしく、今ひとつ威厳が感じられなかった印象になり(作品のテーマとしては仕方ないとはいえ)全3部作のハードな路線を好むファンと好き嫌いがはっきり判れてしまった印象は否めません。
敵怪獣となるジーダスも劇中では終始敵役・憎まれ役に徹していてあまり深みが感じられず、印象に残りにくい敵となってしまった感はあります。
一方で本作は少年の視点で描かれたジュブナイル作品としては中々良質な出来と言えます(実際のケツメリクガメを扱ったトトの赤ん坊時代も非常に可愛らしいし)。
当時は現在ほど怪獣が出てくる作品に人気が集中しづらくなっていた時期で、本作以降ガメラの新作が途絶えてしまったのは残念と言えます。