エル ELLE

エル ELLEのレビュー・評価・感想

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エル ELLE
8

フランス映画でありながらアカデミー賞主演女優賞ノミネートを果たした異色の作品

この映画はまず、万人受けはしません。誰もが見て楽しめるものではなく、好みが分かれるタイプの作品です。わたしは好きです。かなり。
主人公はミシェルというゲーム会社の社長として成功している女性なのですが、彼女がとんでもなくビッチです。親友の夫と寝る、隣人の夫を覗き見して自慰に耽る、部下に股間を見せるよう命令する。さらに元夫の車をぶっ壊し、彼の今の彼女に爪楊枝入りの料理を食わすなどなど、とにかく、こんな女が身近にいたら絶対いやだ!と思うようなイヤな女なのです。
でも、勿論単にイヤな女ではないのです。彼女は自信に満ちていて、一見、非道で非常識なことでも大胆にやってのけるインパクトの強いキャラクター。
ストーリーの中で、彼女自身がひどい目に遭わされても「それがどうしたの?」とでも言うように颯爽と、髪をなびかせ、ヒールの音を響かせながら歩き去る。そんなカッコよさも感じさせるのです。それは、このミシェルという厄介な女を見事演じきった主演のイザベル・ユペールの技と魅力があってこそだと感じました。

フランスの至宝の異名を持つイザベル・ユペールさん、なんと1953年生まれ。この映画が公開されたころは64歳。64歳でこの美貌、この色気、そしてこのヤバさ!脱帽します。わたしもこんな64歳になれたらいいなあとちょっと憧れます。