300 〈スリーハンドレッド〉

300 〈スリーハンドレッド〉のレビュー・評価・感想

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300 〈スリーハンドレッド〉
7

男らしいレオニダス

古代ギリシャの都市国家スパルタと、ペルシャ帝国の戦いを史実と創作を入り交えて作った、2006年のアメリカ映画である。侵攻してくるペルシャ軍を、スパルタ率いるギリシャ軍が迎え撃つテモピュライの戦いが、ストーリーのベースになっている。
主人公はスパルタの王、レオニダス1世。敵国の王は、ペルシャ軍のクセルクセス1世である。
本作の最大の魅力は、レオニダス王の勇壮な姿だ。主演のジェラルド・バトラーの、王者としての威風堂々とした姿が、映画本編で存分に表現されている。彼の国家と自分の家族を守るという強い意志が、物語後半に、戦争の参加に否定的だった、他の都市国家の参戦を呼び起こす。
一部の評論家の意見に、「レオニダス王やスパルタ兵の筋肉はCGではないのか?」という批判もよせられたが、制作サイドはこれを否定している。戦いのシーンのスパルタ兵の筋肉の躍動感は目を見張るものがある。
個人的に一番おすすめなシーンは、戦争初期のペルシャ軍を迎え撃つ、スパルタ兵の戦闘陣営ファランクスである。この統制のとれた美しさが見ものだ。ファランクスで固められたスパルタ軍は、王の掛け声で盾で敵の矢を防ぎ、相手の進行を妨げる。王の掛け声で、盾の間から槍で敵を射殺す。
ラストの王の玉砕シーンも心に響くが、CGも含めて古代の戦いを、現代の感覚で表現するストレートさが素晴らしいと思う。

300 〈スリーハンドレッド〉
10

史上最も強い軍隊と名高いスパルタ

ギリシャのスパルタ軍300人vsペルシャの複合民族軍数万の軍隊の戦いである、「テルモピュライの戦い」をモチーフにした作品。史実では300人のスパルタン以外にも多数の軍が戦闘に参加した(戦力差の比率は依然として大きいままであるが)とされているが、この映画では300人のスパルタンのみで戦うこととなる。
ギリシャに対し屈服を前提とした外交を持ち掛けてきたペルシャの大使を、大きな井戸のような場所に蹴り落とし、屈服を拒否するとともに、これがスパルタのやり方だと叫ぶシーンが視聴者にとって初めて心が大きく脈打つシーンとなるだろうと思われる。このシーンを見た時点で私は既に劇中のギリシャ側の精神と一体化を果たし、ペルシャが憎いペルシャを潰さなければという感情に心を満たされていた。
いざ開戦となり、スパルタは鎧など付けずに槍と盾で戦っているにも関わらず驚くほどの快進撃を果たすのだが、そこではもはや映画を見ているなどという感覚ではなかった。五感は全て劇中と同化しており、まるで自分も陣形に組み込まれているかのような感覚に陥った。こんなリアリティを感じさせてくれる映画は後にも先にもあるのだろうか?そんなことを考えさせる作品。