グーグーだって猫である

『グーグーだって猫である』とは、1996年11月号から1997年8月号まで『ヤングロゼ』(角川書店)で、同雑誌が休刊後は『本の旅人』(KADAKAWA)で2011年6月号まで連載された、大島弓子によるエッセイ漫画である。コミックスは、単行本と文庫版が共に全6巻刊行された。
内容は作者の大島と猫のグーグーや他の猫たちとの日常を描いている。
2008年には「第12回手塚治虫文化賞」の短編賞を受賞した。実写映画は2008年9月6日に、原作の大島を小島麻子(こじまあさこ)とするオリジナルストーリーで公開された。監督は犬童一心、小島麻子役を小泉今日子が演じた。
その後テレビドラマが、2014年10月から11月までWOWOWの「連続ドラマW」で全4話放送され、監督は映画と同じ犬童一心が務め、小島麻子役を宮沢りえが演じた。このドラマは2014年11月度「ギャラクシー賞」の月間賞、「第41回放送文化基金賞」の奨励賞と演技賞(宮沢りえ)を獲得した。

グーグーだって猫であるのレビュー・評価・感想

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グーグーだって猫である
7

ペットロスに悩んでいる人は見て欲しい

この作品を視聴しようと思ったきっかけは、テレビの予告を見ていて、「愛するネコを失った主人公が、新しい猫を飼うことで癒されていくストーリーです。」と流れているのを見たからです。
私自身、ペットを亡くし、なかなか悲しみから抜け出せていないところがあった為、共感できるものがあると感じたからです。また、ペットロスを克服するためにどうしたらいいのか、答えが出せないところがあり、ヒントになるものがあるといいなと思ったからです。
視聴してみると、のんびりした流れのドラマだなと感じ、最後まで見ることが出来るのか心配でした。だけど、舞台である吉祥寺近辺や中央線が、慣れ親しんだものだったのでいいなと思えたことと、主人公が漫画家で、自分も漫画を描きたいと思っていた頃があったので、親近感を覚えました。
物語は、漫画の締め切りに追われる主人公を見守りながら、初代の猫(サバ)が亡くなるところから、始まります。仕事に追われていると、ペットの死は勿論、家族の死に立ち会えないことがあると思います。自分はペットの亡くなる直前まで面倒を見ていましたが、見ることが出来なかった家族がいたので、仕事を終えてほっとした時にサバが亡くなっているのを見た主人公の気持ちがわかるような気がしました。サバの死を受け入れることが出来なくて、新しい猫を飼いたくなる主人公の気持ちも、共感できました。うちではペットは買わないと決めていますが、生前のペットと似たしぐさをする動物を見ると、懐かしくなってしまうからです。主人公のことが中心に回っている物語にとどまらず、周囲の人間、特にアシスタントの視点で話が進んでいくところも、この映画の良いところです。主人公が、新しい猫であるグーグーをきっかけに知り合った男性との恋がうまくいくのかも気になるところです。そして、一番感動したのが、病気が発覚した主人公を勇気づけようと、アシスタントが色々な人を巻き込んでダンスをする場面です。「2番目の猫は幸せだ。初代よりも大切にされる。」という主人公のセリフや、「この子はもっと長生きしてほしい。」というセリフも、印象的です。一番泣けた場面は、死を覚悟した主人公が、サバと会話するところです。私もペットが本当に幸せだったのか気になっていたのと、ペットが亡くなってまもなく体調を崩したので、みんな感じることは同じなんだなと思ったからです。別れと出会いが複雑に講釈するところも、よくある生活をうまく表現していると感じました。

グーグーだって猫である
8

サバのいない生活

人と動物との関係性だけでなく、人と人との関係性をも考えるきっかけとなりました。
長い間連れ添ったサバを失い、喪失感で無気力になってしまった作者の心の寂しさを埋めてくれたグーグー。しかし単なる心の寂しさを埋めるための道具としては向き合っていません。人とペットという関係性ではなく、同等な関係で同居人として共存しています。例えば「エサ」とは言わず「ごはん」という表現をしています。作者の動物への愛情のかけかたが心の余白を埋めるだけでなく、グーグーだけに限らず他に同居しているそれぞれの猫たちの気持ちをも感じ取り調和した関係性を保っているように感じました。猫の気持ちがわからないけれど、それを作者が読み取れることができるのは、猫たちを観察して適度な距離を保っているからです。コミュニケーションは言葉だけでなく、相手の様子を汲み取り予測しながら工夫を重ねていくことが大切なんだなと思いました。作者と猫たちのように、言葉がなくても伝わるということが動物だけでなく人と人との関係性にもつながると思いました。作者とグーグーは人と猫だけど言葉がなくとも通じ合って人と人とが話しているような日常生活を送っていると思えました。こころ温まる、しかしそこにたくさんの気づきがある作品だと思います。