二ツ星の料理人

二ツ星の料理人のレビュー・評価・感想

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二ツ星の料理人
8

三つ星シェフ

概要:
2015年製作のアメリカ映画。一流料理人として有名な主人公だがあるトラブルをきっかけにパリから逃げ、ロンドンで三つ星シェフを目指して起死回生を図ろうとするサクセスストーリー。
料理の師匠ジャンリュックから、牡蠣や林檎は神の創造物だから手を加えてはならないと教えられていたがアダムは料理は挑戦だと思っている。
そんなアダムはジャンリュックの店で10年修行して料理長になり天才肌だと評されていたが、薬漬けとなって問題を起こしパリからルイジアナへ飛びます。

自らの罰だと100万個の牡蠣の殻剥きを達成したアダムはパリから姿を消して3年後ロンドンにやってきます。
ロンドンの地で三ツ星シェフになるため兄弟弟子や仲間を訪ね回る、が父親の後を引き継ぐためにホテル経営を学んでいるトニーは関わりたくない様子です。
アダムはそこで初めて師匠が亡くなった事を知り驚くが、副料理長を担当していたエレーヌを見て気に入り引き抜こうとするが傲慢な性格が受け入れられなかった。

また仲間だったミシェルを訪ねるとどうも恨まれているようだと気付きます。
アダムは独立したミシェルの店にネズミを放ち、衛生指導員に通報したそうだがまったく覚えていなかった。
しかし三ツ星を狙うと知ったミシェルは無職なためすべてを許し協力すると言ってくれました。

アダムは知り合いであるレストラン評論家シモーネにお願いしてトニーの店に行ってもらい、俺に調理させれば店を潰されなくて済むと話を持ちかけます。
見事に高評価を得たことでアダムは三ツ星を狙うと伝えるとトニーの父親が毎週金曜日に病院に行く事を条件に改造費用を出してくれる事になります。
兄弟弟子だったリースを仲間に引き入れる事は出来なかったがエレーヌやミシェル、出所したばかりのマックスなどが集まりアダムは総料理長として「ランガム」をオープンさせました。

しかし自分の意向通りにスピーディにスタッフは動けず、味付けや焼き加減も最低であり冷めた料理を客に出す始末…アダムは何故言った事をやらないのかと怒鳴り皿を投げ付けて割ったりします。
もともと自分の意向ではなくトニーの父親に行けと命じられていたエレーヌは彼の調理法は古いとエプロンを投げ付け辞めてしまいます。
二度と空席を出さないためにもアダムはテレビに出演し完璧ではなかった事を謝罪し、一週間無料で料理を提供すると宣伝しました。

トニーに説得され戻ってきたエレーヌは食材を低温で調理するための真空調理器を持ってきました。
受け入れたアダムは新作メニューを完成させ評論家たちに提供すると「ランガムの絶品料理」と新聞で連載されました。
アダムとエレーヌはスタッフが帰ったあとも料理作りに専念し、失敗を繰り返しながら三ツ星レストランに相応しい料理を求め続けます。そしてそろそろ来る頃だと読んだトニーはミシュラン評論家の特徴をスタッフ達に徹底的に教え込み始めます。

アダムは指示を出すがスタッフ達の返事が遅い事に気付きます。エレーヌが誕生日の娘を連れて来ている事を知り、スタッフ達は喜ばせようと必死だったのだと分かります。アダムは誕生日ケーキを作ると相手が笑顔になるような料理を作れば良いのだと気付き、今まで完璧を求め過ぎて難しく考え過ぎていたのではと思います。

ある日、仲間に加わらなかったリースから新店の招待状が届きアダムはエレーヌと2人で行きます。
アダムはそこでジャンリュックの娘アンヌ・マリーと再会します。かつての恋人であり互いにドラックで潰れ別れた過去がありました。形見である父親のナイフを貰って欲しいと言われたアダムは葬儀に出られなかった事を悔やみ店を出て行きます。

不完全な料理が許せないアダムはいつの間にか人に対しても自分にもそうなっていました。
アダムは夢が叶い過ぎるのが早く調子に乗りドラック、酒にはまり多くの人を傷付けた事に心を痛めていました。

二ツ星の料理人
8

最高は一人じゃできない

トラブルを起こして、全てを失った料理人アダムは三つ星を狙う為に友人のレストランに入るが、初日からやりたい放題の彼は、周囲とトラブルばかり。

才能ある人間が新天地へ行って、トラブルを起こしながら進んでいくという、青春映画ではお決まりパターンの様な映画だが、それを料理に置き換えて、大人の空間を演出している。
当然のことながら、数々の料理が出てくるが、まるで上品な絵画をそのまま映し出した様な料理の映像は目を見張るものがあり、うっとりとさせてくれる。
単に空腹を満たすのではなく、純粋に食べる喜びを感じさせてくれると言うことを感じさせてくれる。

ストーリー自体は分かりやすい分、料理のシーンをより楽しめるので個人的には嬉しかった。
頭の中では理解をしていても、実際には難しい、仲間と力を合わせて働くと言うこと。
人と働くと言うのはどう言うことなのか?人の上に立つと言うのはどう言うことなのか?

アフリカのことざわで「もし貴方が急いで行きたいなら一人で行け、もし貴方が遠くへ行きたいのなら一緒に行け」というのがあるが、それらの難しさにも気づかせてくれる映画である。
仲間と力を合わせて頑張る方が良いに決まっている!と思うかもしれないが現実は中々、上手く行かないもの。波長が合わなかったり、相手を信じる事が出来なかったり、嫉妬をしたり、色んな感情や関係が生まれてくる。それでも、その中で信じられるものを見つけて、自分自身を信じる事ができれば、最高の物が出来るのかなとも感じた映画だった。