カムイ外伝

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カムイ外伝
9

プロレタリアのリアル

白土三平は、プロレタリア画家を父に持つ漫画家で、荒んだ世界観が特徴の漫画家である。
『ガロ』時代の白土人気も凄まじいものであったが、私はやはり『カムイ外伝』が最も面白いと感じる。何故ならば、これは青年漫画であるからだ。人間の恐ろしさ、真の力を遺憾なく書き切るためにはやはり、青年誌でなくてはならない。
『カムイ外伝』は、全て過去の情景を見てきたかのようなリアリティでもって描写される。しかし、超人的な力を持つ「忍者」などと言うものは実在したか定かではないし、カムイのような忍者など、ほぼ実在しなかったかもしれない。だが、白土三平の描く忍者には、絶対的なリアリティがある。これは『武芸帳』などでもそうだが、彼の描く忍者だけは、さながらオリンピック選手のように、「生身の人間」の限界をもってすれば、やってやれないことはないと感じるギリギリの境界を突いてくるのだ。だから、リアルで、これを、全く無の状態から紡ぎ出すことが、ぞれだけ凄いことなのかを考えると、やはり白土三平はすごいと思う。そして、そこまで「忍者」を突き詰められるこだわりが凄い(笑)もちろん白土作品で忍者でないものもあり、それもまた面白いので(時々実験作みたいなのがあるが)是非見てほしい。