ザ・パシフィック

ザ・パシフィックのレビュー・評価・感想

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ザ・パシフィック
8

太平洋戦争下での米国海兵隊員の凄惨な死闘を再現した、『バンド・オブ・ブラザーズ』の姉妹作『ザ・パシフィック』

『ザ・パシフィック』は2010年公開のHBO、プレイストーン、ドリームワーク製作の戦争劇を扱ったテレビのミニシリーズで、米国での先行公開は同年の3月14日。このミニシリーズは2001年のミニシリーズ『バンド・オブ・ブラザーズ』の姉妹編で、太平洋戦争下での米国海兵隊の作戦行動に焦点を当てています。
『バンド・オブ・ブラザーズ』が欧州戦線の第506空挺歩兵連隊E中隊の兵士たちの軌跡を追ったのに対して、『ザ・パシフィック』は第1海兵師団の異なる海兵連隊(第1、第5、第7の各連隊)に所属する3人の海兵隊員(ロバート・レッキー、ユージン・スレッジ、ジョン・バジロン)の体験を映像化しています。
『ザ・パシフィック』の脚本はミニシリーズの共同制作者でもあるブルース・C・マッケナがメインライターを務め、『バンド・オブ・ブラザーズ』の原作者スティーブン・アンブロワーズの息子、フーゴ・アンブロワーズがプロジェクトの相談役として参加しました。『ザ・パシフィック』ミニシリーズでは、太平洋での第1海兵師団の戦闘が描かれています。例えばガダルカナル、グロウスター岬、ペリュリュー島、沖縄、硫黄島の戦場です。このミニシリーズの原案は主として元・海兵隊員2名の回想録から再録されています。それぞれ、ロバート・レッキー『南太平洋戦記 - ガダルカナルからペリリューヘ』、ユージン・スレッジ『ペリリュー・沖縄戦記』です。

ザ・パシフィック
10

戦争ドラマでのリアルティはケタ違い

太平洋戦争を描いた作品。
未熟な兵士が戦争を通じて成長していく場面や、太平洋戦争の残虐さと歴史をリアルに味わえる作品だ。10話あるのだが、それぞれの激戦を繰り広げる場所や、兵士たちが心休めるシーンなど、当時のアメリカ兵について細かな生活感などが見てとれる。
私が特に印象的なシーンは沖縄戦のシーン。沖縄一般市民の女性が、日本兵の指示で爆弾を背負ってアメリカ兵へ向かうシーンが忘れられない。現在を生きている私としては少し胸が痛かったがそれが本当にあったと思うと辛い。
トム・ハンクスとスティーブン・スピルバーグの共同で作られた映画なので、もちろんアメリカ側を肯定するシーンがあってもおかしくはないことだが、日本の良い所を映し出してくれる場面もある。例えば、日本軍の勝利のために、大和魂としての日本独特の男気を賞賛することや、緻密で知能が高いとも言っていた。日本だけ悪く作られている作品ではなく、戦争そのものが間違っているとも読み取れ、その戦争をリアルに再現されたのがこのザ・パシフィックだと感じた。様々な戦争映画を観てきたが、1番のクオリティの作品だとお勧めします。