天は赤い河のほとり

天は赤い河のほとり

『天は赤い河のほとり』とは、篠原千絵による日本の漫画作品、およびそれを原作とする舞台・スピンオフ小説である。
主人公の女子中学生、鈴木夕梨はデートの最中にいきなり水たまりのなかに引きずり込まれ、現代の日本から紀元前14世紀のヒッタイト帝国へ召喚されてしまう。そこで夕梨はユーリという名でヒッタイト帝国の第3皇子であるカイル・ムルシリの側室となり、戦いを司る暁の明星イシュタルの化身と呼ばれるようになった。そして王族間の陰謀や周辺諸国との戦争に巻き込まれていくという古代アナトリアを舞台にした歴史ロマンス漫画である。
『少女コミック』にて1995年から2002年まで連載。単行本は全28巻。最終巻の後に刊行された公式ファンブックには、その後の話が収録されている。2019年3月時点で電子版を含めた累計発行部数は2000万部を記録。2018年に宝塚歌劇にて舞台化。2000年には第46回小学館漫画賞少女部門受賞。2007年から作者の執筆による外伝小説がルルル文庫より刊行されている。

天は赤い河のほとりのレビュー・評価・感想

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天は赤い河のほとり
9

天は赤い河のほとり

1990年代後半に開始した少女漫画で、日本人の中学3年生の少女が古代のヒッタイト(ラムセス2世、ツタンカーメンの時代)にタイムスリップして、立身出世して最終的に王妃になるという物語です。冒頭こそ平凡な中学生として描かれていた主人公ですが、沢山の王子を虜にし、政治の才覚を発揮し、民衆や家臣の心をつかみ、あらゆる方向へカリスマ性を発動し、どんどん認められて出世していきます。また、主人公を取り巻く仲間との間で繰り広げられる人間模様はとても面白みがあります。特に、自らの未来や命より主人公を優先する家臣の忠誠心と、そういったものを図らずして引っ張り出すことができる主人公の主たる性質。それらが相乗効果となって各々のキャラクターとしての魅力をより一層際立たせていました。
それと、歴史上の人物を物語の中でそのまま登場させているところが大変面白いです。紀元前14世紀頃のエジプト、ヒッタイトの歴史上の有名人(ラムセス2世、ツタンカーメン、ネフェルティティ、アンケナーメン等)が多数登場します。漫画としての面白みだけでなく、副産物として世界史の知識が身に付きます。当時中学生でしたが、実際に私はこの作品がきっかけで、古代エジプトへの興味が抑えられず、作中の歴史上の人物を調べるために各種書籍や論文を読み漁りました。壮大なスケールで描かれた歴史ロマンで読み応えがあっておススメです。

天は赤い河のほとり
7

「天は赤い河のほとり」はトルコ好きの人におすすめの歴史漫画です

天は赤い河のほとりは、古代のトルコ、ヒッタイト帝国を舞台とする歴史漫画です。主人公の少女は高校受験に受かって彼氏ができたばかりの普通の中学生ですが、ある日突然、紀元前数世紀のヒッタイト帝国へタイムスリップしてしまいます。タイムスリップ先のヒッタイト帝国で出会った実在した賢帝「ムルシリ2世」との愛をテーマに史実を基に描かれている漫画です。時代考証がとても丁寧に行われており、主人公の夫となるムルシリ2世をはじめ、ラムセス1世や古代エジプトなど一度は歴史の授業で習ったことがある人物や地名、地域を随所で目にするのでとても読みやすいです。また主人公がとても飾り気のない好人物で、男女問わず好かれるその姿は読者をも惹きつけてやみません。天は赤い河のほとりは単なる少女漫画ではなく、古代トルコを舞台に繰り広げられる主人公の冒険物語でもあり、そこに恋愛要素も含められてより読みやすくなっています。女性読者を対象とした雑誌に掲載されていた漫画ですが、トルコが好きな人には一度は読んでほしい漫画です。天は赤い河のほとりを読むと、古代トルコ史に興味が湧く上に、トルコへ行ってみたいという気持ちにきっとなるはずです。

天は赤い河のほとり
9

王道だけど胸キュン

非力な何も持たない少女が、イケメンでお金持ちのステキな男性に好意を持たれて、胸がときめくという、女の子なら誰でも大好きな王道ストーリーです。いろんな事件や事故も、彼女の機転や頭の回転の良さやで切り抜け、彼からの評価もどんどん上がります。また性格的にも良い子なので、更に愛されていきます。
途中途中で、ライバルやら、誘惑やらで、二人の関係を脅かす要素も入ってきてハラハラしますが、2人の愛情の深さで乗り越えていきます。現実世界では中々このような純粋な愛はないので憧れます。おまけに、絵が綺麗で見ていて楽しいです。服装なども現代のものではないので、お姫様にでもなった様なステキな装飾や服装で、異世界感満載で楽しいです。
元々史実に基づいて描かれている側面もありますので、ある程度動かせない事もあるので思い通りににはいきませんが、そんな制約がある中でもこれほど読み手を、引き込む描き方が出来るとは天晴れと言わざるおえません。
なかなかの長編ですが、最後まで中だるみする事なく一気に読む事もできる作品です。画力もストーリーも作者の発表してる作品の中でも、一番の良作だと思います。類似したほか作者の作品も読んだ事がありますが、その中でも秀逸です。