累のレビュー・評価・感想

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10

劇中劇『サロメ』のダンスシーンは必見です!

土屋太鳳は美しい。
彼女が演じるニナは美しいけれども、演技力はほぼ皆無という残念な新人女優でした。
対して、芳根京子演じる累(かさね)は、顔に醜い傷を持ち、ずっとうつむいて生きてきたのに、その内側にあるのは美人女優として一世を風靡した母の血筋でした。
そんな彼女の手にあったのは、母に手渡された秘密の口紅。
唇に塗ってキスした相手の顔を奪うことが出来る、というその口紅を用いた累は、ニナの顔を奪い、舞台のヒロインの座を手に入れるのです。

その間、ニナに残るのは、累の醜い顔でした。
二人はお互いの能力と顔を介在して共存していくのですが、上り詰めていくニナの顔をした累と、とりのこされたような気持ちを噛み締める、累の顔をしたニナ。
巨匠の演出家の舞台作品『サロメ』のヒロインを射止めた累ですが、サロメはかつて母が演じた運命の作品でもあったのです。

サロメはユダヤの王女で、自分を振り返ることのない予言者ヨハネの首を求めて激しく舞うのです。
そのシーンは、大学で洋舞を専門に学んでいた土屋太鳳さんの素晴らしいダンスが見られます。
エキゾチックな衣装とメイクに、狂気をはらんだ舞は、まさにサロメそのものでした。

主人公の二人はくるくると入れ替わり、その顔と、キャラクターの入れ替わりに、見る側は翻弄されまくり、その幻想的な物語は衝撃の結末を迎えるのです。

8

タイトルなし

土屋太鳳さんの演技が素晴らしかった。私は最初特に秀でて可愛いとか、スタイルがいいとかも感じず、土屋太鳳さんの人気の理由をわからないでいたが、この映画を見て土屋太鳳さんの魅力を気付かされた。
見た目がニナで、中身が累のときの役柄は漫画の累そのものといっても過言ではないくらい演じることを愛し、美への物凄い執着を感じさせる演技をしていた。見た目がニナで中身もニナなときは、漫画でもあったような汚い者を嫌悪する人間、他人を利用する悪度さ、舞台に立っているのは誰なのかという迷いを生じさせてからのニナの心の闇を見事に演じきっていた。土屋太鳳さんの素晴らしい演技があったからこそ見てて緊張感を覚えたり爽快感を感じたり見ていて本当に面白い映画だった。自分は基本漫画からの実写やアニメからの実写などが好きではない。むしろ漫画の世界観を壊されることの方が多く感じていて嫌いだったが、この映画に関しては漫画の独特な世界観を見事に表現してして久々に実写して正解な漫画だったと思えた。ただ一つ残念だった部分を挙げるとすれば映画の終盤、累とニナが口紅を取り合って争い、ガラスの窓を割ってしまい二人とも転落してしまうが、その時のCGが不自然だった。

8

久々にいい映画観た

舞台女優が題材なので、舞台シーンが多かったのですが、映画のスクリーンを通して見るとなかなか迫力があり、実際に舞台にいるような感覚になりました。
漫画の原作があるらしいのですが、ぜんぜん知らずに観ました。原作は結末が違うようですね。

「キスをすると顔が変わる」という題材から、大体の結末は想像できました。まあ、醜い主人公が美しい人の顔を最終的に乗っ取るんだろうな〜と思ってみてましたが、想像通りでした。でも、そう思いながら観ていても、いつ乗っ取られちゃうんだとハラハラしてしまいます。

この作品の本当に伝えたいメッセージはなにか?とも考えてしまいます。

最初は単純に、「醜い顔だけど心は優しい主人公」「顔がきれいだけど心が汚いライバル」的な構図も想像していましたが、それは違いました。
結局誰もが醜く、みな自分本位の考えで生きている印象です。
人間は見た目が醜かろうと美しかろうと、結局はそうなのかもしれません。それが作品で伝えたかったことなのかな?

それと、主人公の演技や他社に認められたいという承認欲求の強さも単純に「すげぇな〜」と思える作品でした。この自分の願望や夢への執念はちょっと見習うべきものなのかもしれません。

8

美しく醜い

土屋太鳳さんと芳根京子さん主演で映画化されると知り、公開前から楽しみにしていました。
誰もが顔を背けたくなるような顔の累を、可愛い芳根京子さんが演じる?顔に傷が付いているということだけで累の人生の劣等感は表せない。そう思っていました。
それでも、芳根さんの演技、立ち方、髪型、声のトーンなどで、「あぁ、累がいる。」と思いました。

また、土屋太鳳さんもニナと累を本当に上手に演じ分けていて、素晴らしいです。ニナの下手くそな演技と、累の引き込まれる演技、これだけ差を付けられる女優さんはそう多くはないと思います。
2人がキスをして入れ替わるシーンは、漫画より映像の方が良かったですね。
ニナを取り合う女の醜さ、執念が良く描かれています。
土屋太鳳さんの、サロメのダンスシーンが妖艶で可愛くて、展開的にはハラハラするところだけどもっと見ていたかった。
最後、累がサロメになれた時、ニセモノがホンモノを超えた瞬間には鳥肌が立ちました。

映画という短い尺の中で、漫画の世界観が良く表現されています。
累が演じる美しい女性は、ニナだけでは終わりませんので、続編も期待しています。

最後に、芳根京子さんの醜い演技は圧巻でしたが、やっぱり顔は可愛い(笑)