Cocco

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Coccoのレビュー・評価・感想

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Cocco
8

裸足の歌姫から素顔を隠した歌姫へ…その進化と真価

「強く儚い者たち」でお茶の間に一気に広まった彼女の歌。その独創性と、独自の世界観は今ままでの女性シンガーの殻をある意味破るようなモノだった。

彼女はその独自の世界観を「創り上げたモノ」ではなく「自分が暮らしている世界」として体験しているが故、TVの生放送で歌を歌い切った後、裸足のままスタジオを去り、そして音楽業界からも消え去ったのだ…。
それでも彼女は「歌いたい」と願い、別名義での活動を皮切りに、再度ステージに立つ。ただし、それは彼女にとって嬉しく楽しいものではなかった。
自分が見た事のない世界。自分が受け止められない世界。自分が知らない苦しみ。様々な困難が彼女を襲う。
2007年~2008年に行った全国ライブ。訪れた場所はどのような「危機」に直面しているのか、ファンから託された手紙をもとに彼女はその場所を訪ね、そして衝撃を受ける。
彼女は沖縄産まれだ。金網の向こう側からは外国。米軍基地・貧困・差別・暴行事件・治外法権……。そんな中で育った彼女は「沖縄ばかりが苦しい」と、いつしかそう思っていた。
だが、事実は違った。沖縄でなくとも、日本の至る所で問題を抱え、その場所で暮らす人々の平和が脅かされ、苦しんでもそこで生き続けていた。
それを知った彼女はライブ後、ファンレターをくれたファンやそのライブに集まった人々に「沖縄ばかりが苦しいワケではなかった。知らなかった、ごめんなさい……」と涙を流して頭を下げる。そしてそれを各地で繰り返しライブを走り切った。
走り切った、と言ってしまえば聞こえはいいのかもしれない。2Daysライブを終えた彼女は楽屋に一切誰も入れず、鍵をかけそして泣き叫んだ。
―――自分の【歌】では何も【救えなかった】と……。
そして、彼女は二度目の音楽業界からの失踪をすることなる。それから彼女は海外を転々とし、また、【歌うこと】によって誰かを救えるという【希望】を込めてシンガーとして帰ってきた。
新しい彼女の熱量はどんどんと増していった。だが、25周年という節目に彼女は大きな決断をする。
「素顔を今後一切メディアには出さない」
素顔をいままでさらしてきた彼女に何があったのか。彼女は多くは語らなかった。ただ「顔が見たくなったらライブに来てね」と、それから毎月のように大なり小なりのライブ活動を続けている。

誰かに自分の歌が届けばいいと思っていた彼女の進化が今ここにある。
そして、その【真価】がこれから彼女の歌声できっと証明されていくのだろう……。

Cocco
6

絶望から一歩踏み出したい人、浸りたい人へ

「Cocco(こっこ)」は沖縄県出身の女性シンガーソングライターです。ファンからは、コッキーといった愛称で呼ばれています。活動内容は幅広く歌手のほかに絵本作家や小説家といった、ジャンルにとらわれないスタイルをとっています。多くの楽曲の作詞・作曲はCocco本人が手掛けています。音楽性は自らを傷つけているような歌詞。病んでいるかのような、歌詞と歌唱の表現。ハマる人は本当に彼女の魅力にとりつかれるでしょう。特に思春期の多感な時期には影響を受けるかもしれません。1998年には2ndアルバムがミリオンセールスを記録しています。それだけCoccoという人物のカリスマ性が世の中に浸透した証拠ともいえました。「焼け野が原」という曲の激しく、絶望感に満ちつつもエネルギーに満ちた楽曲。「Raininng」の、外の世界にあこがれを持ちながら内向的な世界で生きる人物を描いたような歌詞。多くの歌の世界観は、ほんの少し。一歩でもいいから、外の世界に歩き出したい人物を描いているように思えます。絶望の中から、わずかでも幸せを願う歌がファンには受けが良いのでしょう。ただ一度ハマってしまうと、病んだ世界観のとりこになってしまうので注意が必要です。それが魅力的な部分でもあります。つらい時に聴くと、悲しいのは自分だけではないと感じさせる歌が多いです。楽しい時にあえて聴いてみようとは思わないかもしれません。それだけCoccoの歌は、傷ついた心に寄り添ってくれる歌が多いです。

Cocco
9

全世代に聴いて欲しい、マルチし才能を発揮するシンガーソングライター・Coccoの魅力。

沖縄県出身のシンガーソングライター・Cocco(こっこ)さん。1997年にメジャーデビューを果たし、「カウントダウン」、「強く儚い者たち」、「Raining」、「焼け野が原」など次々とヒット曲をリリース。元々はバレリーナを目指し、バレエのオーディション資金にしようと歌手オーディションを受けたという経緯があり、デビュー後活動休止等を経て、シンガーソングライターだけでなく絵本作家や女優としても才能を発揮しています。沖縄芝居役者である真喜志康忠と真喜志八重子を祖父母に持ち、少女時代のエピソードからも感受性の高さを感じます。さらに1児の母でもあり、繊細かつ大胆、独特の世界観を持つ彼女。デビュー時の少女から大人の女性へと移り変わっていく歌声は危ういガラス細工を連想させます。そして歳を重ね母となり、本来の歌声に加えて落ち着いた包容力のある、それでいて暖かいのに切ない歌声はとても魅力的です。制作する楽曲も、愛しすぎた故に狂気を孕んだもの、母性に満ちた暖かいもの、故郷・沖縄を感じさせるものなど幅広くリリースされています。それらはどれも時代を越えて通じるものがあります。ぜひ全世代の人々に聴いて欲しい、そんなアーティストです。

Cocco
8

独創的で魅力的な沖縄シンガーソングライター

Coccoは沖縄県那覇出身で、アメリカでインディーズデビューしたアーティストです。
シンガーソングライター、女優、絵本作家でエッセイも小説も書くなど、とても多彩な方です。Coccoが作る歌は、歌詞も作曲も自分で手がけているものが多く、独自の世界観と感性がすごく強くて、ほんとに独創的です。激しく感情的でもあり、愛情深くもあり…強烈です。好き嫌いが分かれるかと思います。個人的意見ですが、始めの頃の曲なんかはもうほんとに怒りや悲しみの感情の方が強いようで、暗めかな…聞いてて痛々しい感じの曲が多いです。最近のはすっごく穏やかな、愛溢れる優しい歌が多くなってきたなと思います。
歌詞の言葉も表現力がすごく、語彙が豊富です。知らない言葉がいっぱい。結構直なものから、婉曲だったり、難しい言葉で書いてあるものも。英語の曲もあって割と多く、歌詞カードには英語と日本語両方書かれているものが多いです。中には沖縄の方言で歌われていたり、童謡があったり、詩人の詩があったり。沖縄に対しての愛溢れる歌もあり、とても優しい気持ちになれます。
激しいものからポップな曲、お茶目な面白いけど何気にシビアな歌もあって聴いてて飽きないです。ギターも上手で弾き語りすることも。私は行ったことないですが、コンサートのライブパフォーマンスはすごいと評判のよう…。とても魅力溢れるシンガーソングライターです。

Cocco
9

キズだらけの表現者

90年代の女性シンガーソングライターの中でも、一際異才を放つCocco。
彼女のデビューシングルである「カウントダウン」を聴いた時の感想は大きく二手に分かれると思います。傷ついた経験などがあり、カタルシスを感じる人、そういったこともなく「恐ろしい。二度と近づかない」と思うひ人、両極端だと思います。
彼女の楽曲の傾向として、「カウントダウン」のように、全面的に狂気を表現しているものと、「強く儚い者たち」のように穏やかなメロディ上に残酷なメッセージをのせているものとがあります。そして、時々、純粋にロマンティックなものもあります。
二番目に挙げた「穏やかなメロディーに残酷なメッセージを載せた楽曲」が初期には比較的多いので、聞いているほうとしては油断ができません。私は、そんなところにも惹かれました。サビ部分で爽やかに残酷な言葉を投げかけてくるので、心を引き付けられ、耳から離れません。彼女の心からの悲鳴なのだと思います。彼女は表現していかないと生きていくのが難しいタイプのアーティストなのでは?とも思っています。
そんな彼女も、最近では、健康的な表現者として活躍しています。それもまた彼女のファンとしては、喜ばしく思っています。ちなみに、初期の楽曲の中でもお勧めなのは「rainning」です。