鮫島、最後の十五日

鮫島、最後の十五日のレビュー・評価・感想

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鮫島、最後の十五日
6

リアルではないが相撲に対して真摯な主人公が特徴

私は、この漫画の主人公である鮫島鯉太郎がリアルでないという感じをまず覚えました。体を酷使していることでいわゆる「パンチドランカー」のような症状が鮫島には出ていますが、大相撲でパンチドランカーになるというのは、私は少なくとも現実としては聞いたことがありません。それこそが、私が感情移入し切れない大きな理由の1つです。
ただ、鮫島の対戦相手の人である巨桜丸丈治に関しては、自分の人生経験などからピンと来るものがあります。この巨桜丸はハワイ出身の幕内力士ですが、ハワイ人の感覚で言っても巨大な体格を持っている力士です。子供の頃からとにかく体が大きかったのですが、気弱すぎてアメフトなどでも全く使い物にならず、心を閉ざして引きこもりになっていました。
そんな中、優しくて明るい親方に誘われて大相撲に進み、所属する寒河江部屋という居場所を守るために、作り笑いを浮かべながら取組に励むようになりました。
私も、今まで数々やってきたアルバイトの中でも、長続きしたのは上司や先輩の人柄が私の性格と一致していたアルバイト先であって、巨桜丸のように職場の人に恵まれたケースというのを見ると、たとえフィクションであっても元気づけられるものです。