HINTO

HINTOのレビュー・評価・感想

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HINTO
10

あまりにもエモーショナル

HINTOとは、一時期解散したスパルタローカルズのボーカル・安部コウセイを中心としてできたバンド。結成当初とはメンバーが入れ替わり、現在のHINTOは復活したスパルタローカルズとドラム以外メンバーが同じという、ちょっと面白いことになっている。
その楽曲は全体をとおして「夏」をイメージしているといわれるが、夏の終わりのような胸に迫るエモーションを持っている。安部コウセイの少し乾いた声で歌われる個性的で時にあやふやな歌詞はこちらの想像力を刺激して、その間に入る伊東のギターは言葉にはならない問いをこちらに投げかけてくる。
『なつかしい人』で歌われる「あなた」は誰なのか、『シーズナル』で夏が終わってしまう「僕」は自分自身なのだろうか。ぜひ最初はMVを見ずに曲だけ聞いてみてほしい。

YouTubeでHINTOを検索すると公式動画が見られるが、そのコメントを見てみるとほとんどが海外の方からのコメントだ。言葉が通じなくてもメロディで良さがわかるのだと思う。とてもわかる。特に伊藤のギターはあまりにも胸にくるものがある。高音でかき鳴らされるギターは聞く側の心もかき乱す。あるコメントでは「私はこの歌詞がわからないからなお一層想像が掻き立てられる」と投稿されていた。私は日本語がわかってしまうためこの感覚がうらやましくさえある。
エモーショナルな部分ばかり語ってしまったが、実際HINTOはコミカルな曲や、正直よくわからない曲もたくさんある。というのもアルバムによってわりと方向性が違うのだ。こればかりは全部が好きな私がどういえるものでもないので公式YouTubeで気に入った曲を探したほうがよいだろう。