時計じかけのオレンジ / A Clockwork Orange

時計じかけのオレンジ / A Clockwork Orangeのレビュー・評価・感想

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時計じかけのオレンジ / A Clockwork Orange
9

バイオレンスとドラッグ的な陶酔が炸裂する、サイケデリック調の狂気と紙一重の迷作!

『時計じかけのオレンジ』は、1971年製作のデストピア的な犯罪映画で、監督・製作はスタンリー・キューブリックです。本作は1962年に発表されたアンソニー・バージェスによる同名の小説を原作としています。この映画は見る人の気分を悪くさせるような暴力的なイメージを多用しており、近未来のデストピア的な英国の社会・政治・経済を批判しています。主人公のアレックス(マルコム・マクドウェル)はカリスマ的な反社会的な若者で、クラシック音楽(とりわけベートーヴェン)に耽溺し、レイプを頻繁に行い、いわゆる「ウルトラバイオレンス」を嗜好していました。彼の仲間にはピート(マイケル・ターム)、ジョージー(ジェイムス・マーカス)、ディム(ワレン・クラーク)がいて、アレックスは彼らを「ドルークス」と呼んでいました。フィルムでは、アレックス一味の犯罪がおどろおどろしく描き出され、アレックスは逮捕されると内務相(アンソニー・シャープ)が啓蒙する実験心理的な療法に処せられます。映画はアレックスの一人語りで、彼の独特な俗語が嫌に耳障りな記憶として残ります。映画の全米公開は1971年12月19日で、英国での公開は翌年の1月13日でした。この作品は批評家による両極化した評価で迎えられ、暴力がグラフィカルに描かれているために激しい議論を巻き起こしました。

時計じかけのオレンジ / A Clockwork Orange
8

映画でもあり芸術作品でもある

スタンリーキューブリック監督作品の中では個人的に最高傑作です。もう40年以上も前に制作されているのに全く古さを感じません。

思春期真っ盛りの15歳不良少年アレックスは毎晩、ドラッグ、暴力、セックスに溺れる日々。そんなある日、一緒に連んでいた仲間に裏切られ、逮捕されてしまいます。一人囚われの身になったアレックスは更生のためにある人体実験を受けます。実験台にされたアレックスが心身崩壊していく姿に注目…といった内容。

非常に残忍で胸糞悪い場面もありますが、それ以上に映像と音楽が素晴らしいです。
時折流れるクラシックの音楽が残酷さを掻き消してしまいます。特に主人公アレックスが「雨に唄えば」を口ずさみながら、老人に暴行を加えるシーンはなぜかユーモラスな?画にさせてしまいます。
それから劇中に出てくる不思議なオブジェやセット、奇抜な衣装やメイク、音楽、全てにおいてスタンリーキューブリックの世界観が溢れてます。
映像を見てるだけでも楽しめますし、これは映画でもあり芸術作品でもあります。
暴力やレイプなど非常に残忍なシーンも多々あるので見るなら絶対成人以上、家族や恋人同士で見る映画ではありませんね。