マザー / MOTHER / EarthBound Beginnings

マザー / MOTHER / EarthBound Beginnings

『MOTHER』とはコピーライターの糸井重里がゲームデザインを手掛けた任天堂のファミリーコンピュータ用のロールプレイングゲームである。当時のRPGでは珍しい現代的な世界を舞台にした作品で、その現代的な世界観や、糸井重里が手がけるシナリオの小粋なセリフ回しなどが高い評価を得た。アメリカの田舎町、マザーズデイで暮らす少年の家である日、家具や人形がひとりでに動き出す怪奇現象が起こる。その現象が曽祖父の研究と関係があるのではないかと父に言われた少年は、怪奇現象の謎を解き明かすべく旅に出た。

マザー / MOTHER / EarthBound Beginningsのレビュー・評価・感想

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マザー / MOTHER / EarthBound Beginnings
10

今までにも、これからもないRPGゲーム

MOTHERは、敵を倒しても「殺す」ことはしません。「我にかえった」とか、ロボットならば「ポンコツになった」という風に、今までのRPGでは全くなかった表現がされます。
武器や装備も、中世的な鎧や剣ではなく、バットなどで戦います。
回復するものも最初に自分で入力した「たべもの」を「おかあさん」が作ってくれるので、それも新しい発想です。
そして、なんといっても感動するのは、ラスボスとの戦い方です。最初はダメージを与え、与えられたら回復していくの繰り返しなのですが、ある程度のダメージを与えてターンが進むと「うたう」という選択肢が現れます。
回復をしながら「うたう」を選択していくと、今まで行ったことのある場所で覚えた「うた」を歌っていきます。
すると、どうしてもダメージがほとんど与えられなかったラスボスに強大なダメージが与えられていきます。
それも悲しいほどに切なく、だんだんとラスボスの正体がわかっていき、覚えた「うた」を歌いきった時、戦いは終わります。殺したりするのではなく、感動的なラストを迎えるのです。
そして、なんといっても一番感動するのは、エンドロールです。「うた」が流れる中、自分の名前がクレジットされるのです。こんなラストは、MOTHERが初めてだと思います。
音楽も素敵で、斜めに歩くのも、初めてづくしで楽しいゲームです。糸井重里が何年も費やして作ったゲームだということも、頷けます。