うたわれるもの / Utawarerumono / うたわれるもの 散りゆく者への子守唄

うたわれるもの / Utawarerumono / うたわれるもの 散りゆく者への子守唄

『うたわれるもの』とは、2002年にLeafによって発売されたアダルトゲームを原点として、PS2用ゲームソフト「うたわれるもの 散りゆく者への子守唄」、そしてアニメ、ドラマCD、コミックと広く展開された作品である。舞台は様々な種族、文化が混在する世界。記憶を失い大けがを負った仮面の青年「ハクオロ」は、とある村の少女「エルルゥ」に助けられる。ハクオロは仲間達とともに国を守り、世界と自分の秘密を知り、自らの過酷な運命に立ち向かっていく。

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うたわれるもの / Utawarerumono / うたわれるもの 散りゆく者への子守唄
10

優しく、暖かく、苛烈で、そして切ない大河浪漫作品

主人公は大けがを負って記憶を無くし、顔に謎の仮面を付けた青年、ハクオロ。倒れているところを助けてくれた女性のエルルゥと、その妹のアルルゥを始めとした集落の人々との心暖まる交流から、この物語は幕を開けます。
ハクオロ以外の人々は皆、体の一部が動物のようになっている(耳が動物のようにふさふさしていたり、尻尾が生えていたりする)亜人間たち。暖かな交流を続けるハクオロの日常は、ある日エルルゥとアルルゥの祖母トゥスクルが領主の一団に殺されてしまったことから激変。重税や横暴に苦しめられ、遂には同じ集落のトゥスクルを殺されて我慢の限界に達した仲間たちを見て、ハクオロは決意します。集落の人々を率いて、領主たちに反乱を起こしたのです。この反乱から、全てが始まりました。反乱を機に、様々な人々がハクオロの元に集います。慕ってくる者。忠誠を誓う者。敵対し、牙を剥く者。人々との交流や敵との戦いを経ていくうちに、ハクオロは無くした記憶と外せない仮面に潜む自身の謎と向き合っていくことになります。
「家族」がテーマの一つとなっている本作は、エルルゥ・アルルゥ姉妹を始めとした仲間との何気ない日常が本当に優しく、まさしく家族のような絆で結ばれていきます。その日常を脅かす敵との戦いでは、ハクオロは兵を率いて容赦のない策を巡らせ、苛烈に敵を倒していきます。それも全ては国を、「家族」を守るためと割り切って。そんな暖かく優しく、時に苛烈な日常が、物語が進んでハクオロの正体が明かされていくと共に、本当にかけがえのないものだったのだと気づかされます。ハクオロが大切にしていた日常、仲間、「家族」。どこまでいっても、ハクオロはそれを守るために戦っていたのだと。そしてEDを迎えたとき、感動で涙が止まらなくなる。
ぜひ、あなたもこの感動の物語、体感してみませんか。